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哀歌〈上〉 (新潮文庫)
 
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哀歌〈上〉 (新潮文庫) [文庫]

曽野 綾子
5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

貧困と動乱の大地・アフリカ。日本人修道女・鳥飼春菜はアフリカのとある最貧国の修道院に赴任する。この国では多数派ながら貧困にあえぐフツ族と、かつて特権的地位を得ていたツチ族が微妙なバランスの中で共存していた。そして修道院内部もフツ、ツチ、その混血、外国人と多種多様な人種で構成されていた。
現職大統領の不自然死は、この国をフツによるツチと、ツチとの関係が疑われたフツへの部族虐殺の惨劇へと導く。巧妙にツチへの虐殺を教唆する国営放送。民兵とは名ばかりの、強奪を目的とする集団の横行。教会の存在はまったく無力であった。
逃れてきたツチの難民の受け入れを拒む修道院長。神学校に乱入した民兵は、生徒も難民も修道女さえも惨殺した。そして教会にも軍隊と暴徒が殺到した。その先頭には、アフリカの呪術師のいでたちをした現地人牧師の姿があった。春菜は混乱の渦中で、修道院の庭師に陵辱される……。
100日間で100万人が虐殺されたという大混乱の中、春菜は信仰も、人間への信頼もすべてを失う。隣国へ脱出した春菜は日本人画商・田中一誠に助けられ、帰国する。しかし、春菜はあの庭師の子を身ごもっていた。修道院を去った春菜は田中の援助で、一人で子供を産む決心をする。
 田中へのほのかな愛。しかし、田中には自分が起した事故で失明させた妻がいた……。
 飽食と見せかけの繁栄の中、日本人が見失った生きることの悲しみと喜びの原点を描く、曽野文学、不滅の金字塔。ファン待望の長編小説。 --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

鳥飼春菜はアフリカ最貧国の修道院に赴任した。多数派のフツ族と、少数派だがかつての特権階級のツチ族の対立の中、春菜は日本からは想像もつかないアフリカの現実に晒される。ラジオからは「ゴキブリ(ツチ族)を殺せ!」という檄が連日流れる。やがて微妙なバランスが崩れ、暴力と憎悪が炸裂した。100日で100万人が犠牲になったとも言われる、ルワンダの悲劇をテーマに描く待望の長編。

登録情報

  • 文庫: 411ページ
  • 出版社: 新潮社 (2006/04)
  • ISBN-10: 4101146411
  • ISBN-13: 978-4101146416
  • 発売日: 2006/04
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 607,476位 (本のベストセラーを見る)
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11 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 虚無庵 VINE™ メンバー
形式:文庫
94年、この舞台になった内戦は、06年7月まで映画「ホテル・ルワンダ」として全国ロード中です。克明につづった惨劇の模様には読んでいても圧倒されます。残酷な読み物が苦手な人にはショックの度合いが強いかもしれません。ただ、気になったところを挙げます。

まず、人物描写が十分ではありません。修道女たちが誰が誰やら分からないのはともかく、主人公の春菜、画商の田中、彼の秘書で春菜を助ける布村。鬼気せまる現実のリアリティーにこれだけ心血を注いだのなら、読者がイメージしやすいよう、やはり後編の主要人物についても、もっと細部に手を加えたほうが良かったでしょう。

また、「日本では……(のようなことは当たり前)」とのくだりが前編の随所に述べられていますが、そこだけ浮き上がっています。お説教くさい言葉はしらけるだけです。

もっとも重要なテーマである、子供を産む決意をするところ。春菜が強く生きるほうを選択したからでしょうか。それとも、カソリックの堕胎は罪であるとの教えに逆らえなかったとも解釈できるのでは。もし、そうなら修道院をでる道を歩んだにせよ、信仰という「足枷」から自由になれなかったことを意味します。ここは、それぞれ意見が分かれるところです。

モノにあふれて平和ボケした日本人が、アフリカでは貧しくもかつ悲惨な出来事が、どのような現実として過去のみならず現在においても起こっているのか知る手がかりとして、どうか目をそらさずに真剣に読んで欲しいと思います。
このレビューは参考になりましたか?
10 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 鼓吹
形式:単行本
レビューの粗筋がかなり詳しい上に作品の核心に迫っている。この小説の登場人物は、往々にして出来損ないの禅問答のような教訓めいた会話にうつつを抜かしているが、そんな箇所は読んでも白けるだけだからどんどん飛ばしてしまえばいい。「どうしたら人間を失わないでいられますか」「日本人が忘れた生きることの喜びと悲しみの原点を描く」といったイタい帯の文句も無視。そういう食わず嫌いを起こさせる障壁を乗り越えて面白そうな所だけを拾い読みするだけでも充分価値がある。

虐殺・暴動の描写は、説明過剰かつ平坦な他の部分に比べ、言葉に力があり文章がしまっている。その迫真の筆によって描出された「光景」は臨場感に溢れており、作中でも際立って印象に残る映像性がある。もうひとつの読みどころは、春菜と一誠の別れを描いたラストだろう。並行する電車に乗った二人は、見つめあいながらも決して近づこうとしない。春菜はホームを渡って一誠と盲人の妻が乗る電車に移りたいという衝動に駆られながらも、心の底では自分が決してその衝動に操られないことを知っている。彼女に象徴されるのは、「節度」を知り感情を宥め抑制する人間が持つ「哀しみ」である。この慎みは「足枷」にも「支柱」にもなる「不自由の美学」であり、曽野が言う「運命の受諾」そのものである。

このレビューは参考になりましたか?
5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
ルワンダにおける大虐殺については、この本(上下)を読むまで知識がほとんどなかったが、その中での想像を絶する人間の残虐さに愕然とした。
暴動に巻き込まれた日本人主人公である修道女がその過酷な運命を受け入れようとする姿に、遠藤周作の小説における隠れキリシタンの受難の姿が重なった。
私は無神論者であるが、どんな苦難のもとにあっても、信仰をよすがにする人は強いのかもしれないと思った。
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