評価4.7
筋立てにある種の荒さは感じますが、金賞受賞の際に『圧倒的な筆力』と褒められた文章力は確かなものです。
感情表現は細やかで、自分にも覚えのある感情を丁寧に表現していく力量に、ぐんぐん読まされてしまいます。
爪を切ろうとして、爪切りの方が欠けてしまう場面や、最初は指導する立場だった七倉が、もうこの四人には敵わないのだと知る場面など、さりげない表現なのに惹きつけられました。
何よりも、半分しか人間じゃなくなった四人が、悪化していく状況の中でもそれぞれに道を選んでいく姿がいいです。
仲間だったはずなのに考えの違いから敵対していくものも出て、それでもあきらめることなく皆最後まで戦い続けます。
あからさまには書かれていませんが、十文字から綾佳へ、綾佳から純へのすれ違いまくりの恋愛模様も切ないです。
特に十文字の思いと、それに応えられなかった綾佳の思いが。
7月に続編が出るらしいけれど、とても楽しみです。