町田藍が活躍する「小手」バス会社「すずめバス」の<幽霊ツアー>シリーズの三冊目。
ホラーと言うでもなく、ミステリーと言うのもちょっとぴんと来ない。でも、間違いなく楽しめるエンターテイメント作品である。会話主体の短編五編からなるが、どの作品も面白い。
・忠犬ハチ公と「ナナ」に置き換えての「忠犬ナナの伝説」。
・別れ話から人の死んだ「終着駅」での物語「哀しみの終着駅」。
・平凡なサラリーマンが丸の内のビルで行方不明になった「凡人の恨み」。
・大統領を迎えての晴れ舞台での失敗に自殺した警察署長の話「地獄へご案内」。
・昔の栄光にすがる元タレント議員を扱った「元・偉人の生涯」。
どの一編を取っても、ユーモアの中に悲哀を感じさせてくれ、それでいて人間の温かさを感じさせてくれる本当に楽しい短編集である。それと、何よりも気楽に、時間をかけずに読みきれる。まさにエンターテイメントである。