小林立「咲-Saki-」の5巻。今回もカラーページたっぷり。
9ヶ月ぶりということで随分間が空いたが、恐らくアニメ放送に併せての刊行スケジュールだと思われる。
この5巻では、県予選決勝が始まりから区切りのいいところまで
じっくりと描かれている。脱線や補足的なエピソードは一切無し、
真剣勝負という一つの事柄が、じっくりと描かれている。
スピード感は健在だが、展開に関してはゆっくりと。それもあるキャラについてはこれ以上ないくらい深く描かれている。
それは主人公の咲ではなく衣である。龍門渕のエースにして、インターハイでは怪物の異名を持つ彼女。
とは裏腹に、外見はほぼお子ちゃまな訳で、そんな彼女がまるで鬼の様な形相で
圧倒的な力を見せ付けまくる展開には敵ながらに痺れる。
しかもその描き方の演出が、もうほぼバトル漫画に近い。
衣が仕掛ける一手一手に深海や爆発、人ならざる覚醒と恐るべき演出が付けられている。
4巻の時も、ギャグスレスレまで切り込んだ演出力にハッとしたが、この5巻でもその独特の演出が個性を生み出しており
麻雀を一切知らない読者でも、その演出を見ればどういう状況なのかが一目で解る仕様になっているのが面白い。
またこの巻では人と人との繋がり、信頼といった至極普遍的なテーマも描かれていると感じた。
決勝戦の大舞台ということもあり、1人の打ち手に対してそれぞれのキャラが寄せる想い。
ほぼ真剣勝負、シリアス真っ只中の巻という事もあり、時折出てくるそういう描写が更に読み手の心情をヒートアップさせる。
特に風越女子の池田と部長の盤上での再会のシーンはかなりグッと来ました。
これは麻雀ではなく、もはや戦いである。その域まで来ている。
しかし最後に収録されている和と(タコスの)優希の高校入学直前を描く番外編でちょっと安心できたり。
本編が相当すごい事になっているので、かなり和めました。こういうのがあると嬉しい。
衣は既に海底の底に3人を沈めてしまったようだが(読めばわかります)、
最後の最後で咲が反撃を決意する。6巻ではそこからの反撃が描かれる。この巻だけでも高まりまくっているのに、次巻ではどうなってしまうのか?
ドキドキは継続しそうである。