本書を読んでも題名に対する明確な回答は得られない。また、筆者が回答として提示していることは、すでに様々なメディアで取り上げられてきたことであり、新しい知見はない。題名を信じて購入すると拍子抜けになる。あくまで和田投手の球歴をたどるインタビュー集として購入されたほうがよいだろう。
本書の中で、筆者はいくつかの仮説をたてている。これが仮説である以上、それを論証しなくてはならないのだが、おそらく筆者はそのことに気がついていない。一例をあげれば、「和田のボールの回転数が多いため、打ちにくい」という回答を提示しているが、実際に和田のボールの回転数を計測しているわけではない!!和田は、投手成績のわりに被本塁打が多い→回転数の多いボールはホームランになりやすい→だから和田のボールは回転数が多く、パワーピッチャーの松坂と同等である と論旨を展開しているが、これが論理的でないことは一目瞭然であろう。回転数の多いピッチャーはすべて被本塁打が多いのか?いくらでもつっこみようがあるくらい、おそまつである。厳しい書き方になるが、筆者があたかも科学的に証明しているかのような書き方をしているため、あえて苦言を呈させて頂く。
一方、巻末にそえてある和田投手の早稲田大学の卒業論文は、実にしっかりした仕事である。この20ページを読むためだけに本書を購入してもよいくらいである。プロのライターの文章よりプロ野球選手が書いた卒業論文の方がよほど科学的とは・・・。