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呪いの時代
 
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呪いの時代 [単行本]

内田 樹
5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
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登録情報

  • 単行本: 285ページ
  • 出版社: 新潮社 (2011/11)
  • ISBN-10: 4103300116
  • ISBN-13: 978-4103300113
  • 発売日: 2011/11
  • 商品の寸法: 18.6 x 13.2 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
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45 人中、37人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 知の疾走, 2011/12/7
レビュー対象商品: 呪いの時代 (単行本)
 おもしろい映画、サッカーの試合は、時間が瞬く間に過ぎて行く、内田樹の書籍は常にそうである。今回の書籍もまさしく、知の疾走である。霞ヶ関で購入して、新大阪に着くまでの新幹線の間で読んだが、その移動時間が一瞬になった。約3時間、集中して読書したのは久々だった。

 内容は、いつもブログにて主張していること
・脳内(幻想)で生きるのではなく、身体感覚(皮膚感覚)を研ぎ澄ます必要性がある。リスクとデンジャ―の相違を基に、9.11及び3.11の解説は、何度よんでも日常に通じる。確かに自分の「アラーム」は常に大事だ。
・交換経済から贈与への転換を図るべきである。なお贈与とは、内田樹の情報リテラシーの主張(IT技術が問題でなく、文化的資本に因るより良い情報を得れるヒトであるか)とも関係し、貨幣に限らず素養も含まれる。
・自己は他者により規定されることから、自分探しは、出口が無い。俺様化する子供達及び人を見下す若者の著書の分析より、やはり、ヘーゲルから洞察した内田樹の指摘が的確である。

 あたりまえのことがあたりまえでなくなった日本において、あたりまえのことが言える内田樹はすごいと思うと共に、この書籍を通して、内田樹のような「大人」がこれから、一人でも増加してほしい。(これも内田樹の受け売りだが・・・)

 最後に、個人的な話しになるが、オールジャンルでは「思想としての3.11」の佐々木中が、今年の一番であるが、エッセーでは、この著作が、今年のベストである。

 
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18 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 時代の半歩先を行く巧みな言説, 2011/12/13
By 
五島雅 (富山) - レビューをすべて見る
(VINEメンバー)   
レビュー対象商品: 呪いの時代 (単行本)
 筆者の「言葉使い」としての実力は周知のこと。そして、読者から(そして「世間」から)飛び過ぎることは書かない、半歩先をいく手際も鮮やか。優れたエンターテナーが、観衆の思いつきそうで思いつかない「芸」で楽しませてくれるように。カール・ポパー、レヴィナスから六条御息所、安倍晋三まで引用も幅広いが、読書を習慣としている人種にとって知らない範囲の例示は少ない(と思う。)
 例えば、書名にもなっている「呪いの時代」というエッセイについて考えてみる。
 筆者は「呪いの言葉が批評的な言葉づかいをする時の公用語になりつつある」と宣言する。「呪い」の例として、学会における自己中心的な批判、ネット論壇における断定的言説、ディベートTV番組の自己発言に対する無謬性信仰、無差別殺人事件の記号性、朝日の「ロストジェネレーション」キャンペーンの馬鹿馬鹿しさ、など次々と説得力のある分析を続けていく。そして、このような呪い渦巻く社会を生き抜く処方箋として「祝福」を挙げる。「祝福」とは「あまりぱっとしないこの『正味の自分』をこそ真の主体としてあくまで維持し続けること」です。ナルホド。
 文章の合間合間に「努力することへのインセンティヴを傷つけるというのが社会的差別のもっとも邪悪かつ効果的な部分」「教育の場では『君には無限の可能性がある』という言明と、『君には有限の資源をしか与えられていない』という言明は同時に告げられなければならない」など、「半歩先ゆく」エピグラムが入る。時々、常用漢字を超える熟語がルビ抜きで使われているところも、文章を彩る。そして、文章は読みやすい。

 しかし、批評家が毒を失うと少々つまらない.....(本書にもしばしば登場する、養老さんも最近は丸くなった(と思う))

 
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45 人中、36人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 自己決定・自己責任という強者連合の言い分, 2011/12/3
By 
(宗像) - レビューをすべて見る
(トップ500レビュアー)   
レビュー対象商品: 呪いの時代 (単行本)
新潮45掲載中心のエッセイであり、その内容は多岐に亘っているが根本は我々を取り巻いている状況に対する危機であろう。
大まかに言えば新自由主義が生み出した少数の強者連合と多数の弱者の出現である。共同体とは異なる階層社会、無縁社会が生まれつつある。
合理主義、効率主義、数値主義つまり市場原理主義で社会は保つだろうかということである。

ここで著者は、今後の大きな見通しとして市民的成熟と共同体の再構築つまり、恵まれた者(才能にも運にもーそれは天賦のものだから)は「持ち出し」ばかりを当然とする社会・経済、これを「交換経済」=商取引に変わる「贈与経済」と呼ぶ。に移行すべきであろうと考える。
その際のキーワードは「成熟」である。
人間集団を形成する本質的力はモースもマリノフスキーもレヴィ=ストロースも「贈り物」とそれに対する「反対給付」と見做している。

現代資本主義を知る上で恰好の指摘がある。
誰か知恵者が消費行動の動機に「象徴的価値」つまりアイデンティティという基礎付け(要するにブランド商品)を採用したことにより市場(パイ)は「身体」という限界を超え原理的に無限となった。しかし、これでは切りがないからこれと訣別すべきと考える。それでは住み難くなるからである。
世界は、今より住み易くなるかどうかの制度設計をすべきという考えである。

私たちが共同体のシガラミに少々辟易していたところに、高度成長という僥倖に恵まれて「自由」も転がり込んで来たというのが事実であろう。そして、安手の「近代」を掴んでしまった。
そして、それにつれていつの間にか全て「他人が悪い」、自分は悪くないという他責的で未成熟な言説がメディアの音頭取りによって急速に拡がった。ところが時代は転回し豊かさが急速に萎んできて多数がプアーになりつつある。
呪いの時代とは「身体」でなく「幻想」に生きる時代なのである。「このようなものでしかない」自分を受け入れず、承認せず、祝福せず、自分探しという自分でない突っかい棒を求めて彷徨うことであるというのは腑に落ちる。
この本はエッセイという形をとっているが思わず成程と頷いたり、共感したり、気分が良くなることが各所に散らばっていて読みどころ十分となっている。
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