ウィキペディアの情報ですけど、著者の高文謙氏は清朝の官僚、林則徐の5代目の子孫だそうです。身につけた資料、知識の限りを尽くして、世界を経巡り、「正史」を残さんとする「官」の執念を見る思いですね。中身はこれまでの中国の現代史についての知識を、豊富な記述によって、トレースしてくれるような印象で、「なるほどね」といちいち腑に落ちるような気持ちで読みました。考えてみると、周恩来その人が「官」(儒学)であり、翻って毛沢東その人が「覇」(梁山泊)であったわけですね。とすると、トウ小平は正統な「皇」の一代目であるのかもしれません。ともすると現代の日本人は中国を「覇」のイメージでとらえていて、その底に歴史と現実に根ざす「官」があることを忘れがちで、舐めた気分が蔓延しているような気がしています。ふんどしの緒を締めなおす意味でも、本書はじっくり読み込んだ方が良いのではないでしょうか? また周恩来の処世術は、現代サラリーマンにも勉強になります。苦境にありとても、「周恩来に比べれば俺なんかまだましだ」と思うと、とても元気が出ます。