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腕力と人望とに乏しい姫旦が、何故「国父」とまで呼ばれえたか。それは彼が「礼」の達人であったからに他ならない。現代の我々が「礼」と聞いて連想する、しゃちほこばったそれとは異なる、もっと瑞々しい生命力の発露である。
未開の酋長との生死を賭けた戦いも、己一兵のみ、剣さえ取らず言葉で切り抜ける姫旦。言葉に自身の生命を注ぎ、この世界そのものに働きかける。これこそが命掛けの仕事であり、礼だ。
小説は文字であり、文字は言葉を伝え残すもの。それを自覚した上で書かれた読み物には、力がある。これもまた一種の「礼」ではないか。言葉を自在に操る人の力は、何処までも伸びやかなのだ。
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