上巻は「我はいかにして基督教徒となりしか」という自叙伝だが、下巻は「我の信仰はいかなるものか」という哲学書。聖書は「単純でつまらない」と思ったほど、プラトンやキケロに心酔したアウグスティヌスの哲学者魂が炸裂する。(ストラザーン「90分でわかるプラトン:青山出版社」によればアリストテレス以来最大の哲学者)最も驚くのは、「時間の無い世界」を想定し、「時間も神が創られた」と説明していること。時間の無い世界が実際に存在したと考えるアウグスティヌスの想像力はすごい。また、最後の「解説」でアウグスチヌの著作が現実世界で死の直前まで直面した問題に対する闘いの「武器」であったことが解ります。でもやっぱりこの訳の文章では論証の展開がつかめないし胸に迫ってこない、という訳で、私は宮谷宣史訳(教文館)を新たに買いました。値段十倍弱ですが、解る文章なので、その価値は比較になりません。