銀行の合併や広報のやりがいや大変さ。
大銀行の広報部員である主人公の葛藤を書くことができるのは
著者が実際に経験した大変さがあってこそと思います。
ストーリーを追いながら読んで欲しいことではありますが、
「自分を貫くこと。やりたようにやること。
それで何が起ころうとも自分で引き受けるんだ。」
との一節は、まさしく銀行員時代の江上さんのお姿と重なります。
当然のことと言われればそれまでですが、
実際にサラリーマンにとってこれほど難しいことはないなと思います。
物語がクライマックスにさし迫る頃、
すべての責任が何も悪くはない主人公に降りかかり、
傍から見ていてもやりきれなくなってしまいそうな時に、
主人公がつぶやく「大義は誰かが決めてくれればいい。
しかし自分の戦いが自分の保身のためではないことだけは、
わかってもらいたい」との言葉は、
江上剛という作家をずっと見ていれば見ているほど
胸に響く言葉だと思いました。
自分がボロボロになっても果たすべき責任を果たそうとする姿勢は、
小説の主人公にも反映されていると感じました。
実際、なかなかできない「自分を貫く」こと。
主人公の潔い生き方が清々しく思えてきます。