「悪夢村」という脱力なタイトルを始め、槍を使うから「ランサー卿」とか、試作段階だから「試作品」とか、キャラに対する投げ遣りなネーミングセンスに、困ったときの神祖の実験場ネタ。何かもう菊地さんにやる気が感じらず、それなりに売れる人気シリーズだから書いてる、という惰性が見えてしまう。
まずDが登場早々、陽光症でぶっ倒れるのだが、その間、他のキャラたちが必死にDを守ってくれたのに、その事に対して最後まで何も礼を言わず仕舞い。「妖殺行」の頃とは大違いの不義理なDにがっかり。
そもそもDが序盤から離脱する事と、その後のストーリー展開に何も有機的な関連性が無い。気絶している間、左手が単独で敵の城に出掛けて行くので、今回は「左手に頼らないD」を描く事で、今後の「左手との別離」など、最終話への伏線にするのかと思いきや、戦闘でも探索でも何も支障ナシの展開(笑)。
また最近のシリーズで気になるのは、登場人物の多くに「存在理由」が見当たらない事。キャラ描写がほとんど無いので、神祖の都合で実験に供されたり、復活させられたりする不条理に対する悲壮感や、それでも抵抗する人間の強さ、実験を遂行する貴族の狂気などが何も伝わってこない。
左手も畏怖していたほどのランサー卿にしても、「槍の性能がトンデモ」なだけで、槍を無くしたら即行で弱体化(笑)。これが普通の少年漫画なら、「槍だけが私のすべてだとでも思ったか?」と真の実力を出すお約束がある場面なんだけどなあ…。
敵キャラの「Uテイカー」と「試作品」も魅力ゼロ。どれだけ恐ろしい戦闘能力かと思えば、Uテイカーは重力場で攻撃するだけ、試作品は触手からレーザーを発射したりするだけ。詳細な外見の描写も無ければ、喋りもしないのでキャラとしての魅力も敵としての恐さも何も感じられない。これが貴族やOSBとの「禁断の混血」の結果?そこらへんの貴族の方がよっぽど強そうに思えるんだけど。
しかも神祖も禁じたという、その二体と人間をさらに合わせた「三位一体」の合成体、これがもう脱力の極み。ランサー卿の「銀河の全エネルギーを集中した攻撃」すら吸収するという凄まじい能力を持っているのに、「頭に刺しておいた釘」を左手が引っこ抜いたら、そこからエネルギーが抜けて一気にパワーダウン(笑)。お前は風船かっ!と言うか、銀河中の全エネルギーをすぐ抜けるような釘で封じてたとか、そんなエネルギーが奔流したら地球が消滅するだろとか、もう突っ込み所があり過ぎる。
「銀河の全エネルギー」といった言葉ばかりが上滑りしていて、何ひとつ「凄さ」が伝わって来ない。しかもこの戦闘シーンはわずか数ページのみ。これが今回のクライマックスなんだから呆れる。インフレするにしても、もっとあるでしょう?盛り上がるバトルってのがさあ〜。
菊地先生、不遜ですが、盛り上がるバトル描写の参考に、「ワンピース」、「ドラゴンボール」、「HUNTERxHUNTER」、「ジョジョの奇妙な冒険」などの少年向けバトル漫画を読んでみては如何でしょうか?