私は、製作された時代を考慮して、ストレスの強いIVC盤がマシなほうなんだろう思っていました。
だけど、暗い画面、狭い視野、激しい雨降り、名作中の名作がこれほど酷い状態とは無念というほかありませんでした。
映画自体については語りつくされているわけで、私のような若輩者が議論する余地もありません。
問題はこのDVDのプリントについてです。
プリントについては、違う評価もありますが、個人的にはこれほどストレスがないプリントが存在していたこと自体に驚きました。
紀伊國屋のクリティカル・エディションですので、独のムルナウ財団の修復プリントを使ったDVDです。
この独ムルナウ財団の所蔵するプリントは、独が国を挙げて文化的遺産を修復した成果といえるようです。
最近では、フリッツ・ラング監督の映画もここのプリントを使って続々とDVD化されており、どれもクオリティの高いものになっています。
ノスフェラートゥも例に漏れず、IVC盤とはレベルの違ったプリントとなっています。
世界から程度の良いプリントを集めて、更にデジタル補正を行ったもの。
これほど古い映画ですから、少々の傷が残っているのは当然のことですが、古典を見慣れた人なら全くストレスを感じない素晴らしいプリントになっていると言って良いのではないでしょうか。
少なくともIVC盤との比較は意味がないように思います。
値段としては当然高価ですので、そこを考慮して他のDVDから入るのもいいと思いますが、古い映画を適当に観ていて、プリントを選ぶ意識がある方なら、このDVDの値段は決して高くないと思います。
今まさに、生まれたばかりの映像を観ているような気もするくらいで。
いくつか個人的な感想を。
1)中間字幕は欠損のある部分について違和感があります。
2)音楽はプレミアのときのものということですが、素晴らしく美しい。
3)特典映像と付録の冊子は充実していて大変嬉しかったです。