子供時代に観た怪奇映画というのは、その“恐怖のイメージ”が増幅され、記憶されている事が多い。この映画を観たのは10歳くらいの時、町内会の納涼野外映画鑑賞会であったが、とにかくスゴク怖かった印象がある。真っ赤な空に(タランティーノも「キル・ビル」でオマージュを捧げてました)、鳥が次々と機体の窓にぶつかり、鮮血が飛び散るオープニングから、殺し屋に異性人がボディ・スナッチャーする際の眉間がザックリ割れるシーンの痛さと気色悪さ、脱出不能の極限状況の中で吸血鬼が襲ってくる恐怖、高橋昌也、金子信雄、加藤和夫、楠 侑子ら新劇俳優たちのケレン味たっぷりの大芝居、金髪美女がいたぶられるお色気シーン、そして、どうしようもなくぺシミステックな結末と、当時TV「ザ・ガードマン」の納涼怪奇シリーズを観るだけでも大層怖い思いをしていたのに(笑)、と、観たことを後悔した反面、大人の映画の面白さが少し分かった気がしたものだ。今観ても、全編を流れるその異様なムードと緊迫感は相変わらずだし、ゴケミドロ役の高 英男が、犠牲者の生血を吸う時のカメラ・アングルは素晴らしい。時代を反映して、ベトナム反戦のメッセージが語られていたのは驚きだが。その一方でツッコミ処も満載だが、そんなお楽しみ(笑)も全部ひっくるめて、やはり、今作は、怪奇映画の名手として佐藤 肇の名前を記憶させただけでなく、その後のSF怪奇映画に影響を与えた傑作として、映画ファンなら一見の価値あり。