『吟遊詩人に贈る歌』です。世界観はオーソドックスな異世界ファンタジーです。
吟遊詩人を主人公とする話は異世界譚の中では珍しくはありませんが、最近の少年系ライトノベルレーベルでは異世界ファンタジーそのものが主流から大きく外れているので、本を読み慣れていない人にとっては真新しく感じるかもしれません。
物語は、シンプルなようでいて謎の深い歴史ミステリーとして進んで行きます。ラストの種明かしのパートは、細かい伏線もみごとに回収していて良いです。更に読後感も爽やかなハッピーエンドです。
魔法人形の設定も会心の出来だと思います。
しかし読んでみての全体の感想は、いまひとつです。最終盤は良いのですが、冒頭からそこに至るまでが全体として良くなかったです。
理由は大部分キャラにあり、特にヘタレな主人公にあります。
あらすじにあるように、物語の発端が巻き込まれ型なのは仕方ないにしても、できもしないのに大言壮語して後になってから窮地に陥ってどうしようとウジウジ悩み、メインヒロインのトルチに叱られてテアにあれこれやりこめられる、ということの繰り返しには全く共感できませんでした。
また、主人公が問題解決のために何か努力している、ということがほとんど感じられませんでした。向こうから勝手に有用な情報とか便利なアイテムなどがやって来るようなご都合主義の感じでした。
あと、いくら立場があるとはいえ、何でもかんでもテアが容喙してくる展開も理由が釈然とせず、無理矢理に感じました。
キャラ同士のかけあいなども、世にある少年系ラノベ諸作品と比較すると、あまり冴えない感じでした。
評価は、途中までは★2でしたが、最後の謎解きと読後感の爽快さがナイスでしたので★3です。