著者の書籍を読むのは,『中国古典からもらった「不思議な力」』と『何のために働くのか』に続いて3冊目である.著者の主張は,いずれの書籍でも一貫して,『論語』を始めとする中国古典から,人生で成功を収めるための成功哲学と会社を経営するための経営哲学を学んできたという.
特に本書では,孔子の弟子によって編纂された『論語』を主として取り挙げ,自分のために生きる小人ではなく,人のために生きる君子になるべきだと説く.その『論語』とは,『小学』『大学』『中学』の3つの内容を網羅したものである.著者は,『論語』を読む効用として,具体的に以下の3点を挙げている.
(1) 読み返すたびに新しい発見がある.経験や知識が増すに従って,短い句に秘められた奥深い意義が読み取れる.
(2) 読めば必ずと言っていいほど,自己を反省する材料が提供される.
(3) 毎日の生活や仕事の中で,これほど事の判断に役に立つ実践的な書はない.
また『論語』が二千数百年も読み継がれている理由として,著者は人間性というものが,昔も今も,本質的に変わらないからであると主張している.確かに,文化や文明の発展により,人間の生活は豊かになったが,人間の根源的な営みという点では,今も昔も変わりないであろう.そういう意味において,『論語』を始めとする古典を学ぶ意義は,十二分にあるものと思う.