スミ・ジョーの声質は軽やかでふくよかで、耳に心地よく響きます。子守唄を歌う時はより可愛らしく響きを高めに取っていました。特に弱音の響きが美しく、音程の確かさと相まって彼女の世界的な評価の高さは頷けるでしょう。
カラヤンがこの美声を高く評価していますが、ビブラートのあまり強くないこの発声は確かに聴き惚れるだけの値打があり、声楽に関心の少ない方でもこの選曲と歌唱なら満足度は高いと思われます。透明度が高く、高音の響きが特に軽やかなのは素晴らしい特質でしょう。モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、メンデルスゾーン、シューマン、ブラームス、リヒャルト・シュトラウスの日本でお馴染みの曲が多く、一般受けする企画だと思いました。
2010年2月17日から20日にかけてケルンで収録したもので、韓国の若手奏者が多く参加しています。そのせいでしょうか、20曲中4曲は演奏のみの曲でした。この配慮は不自然ですね。スミ・ジョーが「君を愛す」ほかの「ドイツ名歌曲集」を聴きたいがためのアルバムでしょうから。演奏だけなら別のアルバムでそれを適えてもらいたかったという苦言を呈したいと思います。
シューベルトの「魔王」もピアノとダブル・ベースで演奏してありました。これも彼女の歌が聴きたかったですね。モーツァルト「春へのあこがれ」、シューマン「くるみの木」、リヒャルト・シュトラウス「明日には」と「魔王」の4曲が声楽なしの曲でした。
参加アーティストを記しますと、キム・スーヤン(ヴァイオリン)、クララ・ユミ・カン(ヴァイオリン)、ウェン・シャオ・ツェン(ヴィオラ)、クラウス=ディーター・ブラント(チェロ)、ソン・ミンジェ(ダブル・ベース)、エフゲニー・ボザノフ(ピアノ)、クリストファー・パーク(ピアノ)、ユン・ミン・リー(ギター)です。演奏は透明な響きでアンサンブルも良く揃っていましたので、実力は高い集団でした。
リーフレットは豪華でした。長谷川勝英氏の訳・編・補遺による曲目解説が6ページ、「スミ・ジョーと器楽奏者たちについて」として彼女とポートレイトと参加奏者の紹介が詳しく記してありました。全曲の歌詞と対訳も揃っており、このぐらいの親切さがクラシックのCDには必要だと感じました。