2004年に52歳で不慮の死を遂げた多才な異能作家、中島らもの最後の短篇集である。内容はかならずしも佳作ぞろいというわけではないけれど、らもさんのファンならば、手に取る価値があるだろう。
単行本の『君はフィクション』には収録されていない「43号線の亡霊」「ポケットの中のコイン」「ORENGE’S FACE」の3編が、文庫化に際して追加された。どれもショートショートや散文詩といった趣きの小品だが、いまのところ、本書でしか読むことができないレア物ではないかしら。
それから、単行本にも収められていた作者の長女の中島さなえさんのエッセイのほかに、評論家の坪内祐三の解説があらたに加わった。坪内さんの愛読者は、ぜひ押さえておきたい。
蛇足ながら、12篇の収録作品のうち、「DECOーCHIN」は、くだんの転落事故の3日前に書きあげられた、文字どおりの遺稿である由。そうおもって読み直すと感慨深いです。