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君はこの国を好きか (新潮文庫)
 
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君はこの国を好きか (新潮文庫) [文庫]

鷺沢 萠
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

わたしはハングルに感電した―。アメリカで出会った友人に影響され、雅美は韓国語に魅せられて、ついに留学を決意する。ところが文化の違いから、いらだちと挫折感を味わうようになって…。東京とソウルを行き来する青春の日々を新しい感性で描く『君はこの国を好きか』に、ふとしたことから、在日であることを自覚させられる男子大学生を主人公にした『ほんとうの夏』を併録。

内容(「MARC」データベースより)

私はハングルに感電してこの国へ来た…。初めての韓国留学を決意した在日三世・雅美が東京とソウルを往き来する中で出した答えとは? 新しい世代の感性で描く長編。「ほんとうの夏」併録。
--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 260ページ
  • 出版社: 新潮社 (2000/03)
  • ISBN-10: 4101325154
  • ISBN-13: 978-4101325156
  • 発売日: 2000/03
  • 商品パッケージの寸法: 15 x 10.7 x 1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 30,592位 (本のベストセラーを見る)
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6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 追悼 2004/5/27
By アジアの息吹 トップ1000レビュアー
形式:単行本
第5回三島由紀夫賞・第107回芥川賞候補作「ほんとうの夏」
及び第117回芥川賞候補作「君はこの国を好きか」を収めた作品集。
作者の韓国モノ代表作のみならず、小説家鷺沢萠の最高傑作だろう。

「ほんとうの夏」は在日三世の俊之が、些細な交通事故をきっかけに
通名と本名を使い分けていることを意識していくというストーリー。

無意識下にあった逃れ得ぬ宿命を「発見」していく
その心の揺れが丁寧に描かれている。

その5年後、作者自らの韓国留学経験を経た「君はこの国を好きか」は
上記モンダイをより深く掘り下げることに成功している。
ストーリーは「ハングルに感電」した在日三世アミが、
拒食症になるほど韓国社会に軋轢を感じながら

大学院を卒業するまでの戦いを描いている。
韓国に憧れながらも、日本では味わうことのない
その激しい感情の発露にアミは苦しみ、
近づきたくとも近づけない葛藤に悩み、
しかし生来の踏ん張りと時の経過によって
自らの血の出自を受容していく。

抵抗がないわけではない。しかし「受け入れる」のだ。

この覚悟をもって小説家「鷺沢萠」は完成したと言って良い。
この「苦しみの後の受容」はこののち
家族愛を普遍的な人間愛にまで拡大した
「ウェルカムホーム」に引き継がれ開花することとなる。

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By yukkiebeer #1殿堂 トップ100レビュアー
形式:文庫
 「ほんとうの夏」と「君はこの国を好きか」の2つの中編を収録。前者は1992年、後者は1997年に発表されました。

 俊之は在日韓国人。そのことを告げずに芳佳とつきあっている。彼女を乗せて運転中に追突事故を起こし、警官に提示しなければならない免許証から自らの国籍を知られることを恐れた彼は、芳佳をじゃけんに遠ざけてしまう。(「ほんとうの夏」)
 在日韓国人の雅美は“母国”に留学する。しかし日本人に比べるとあまりに濃厚な韓国人たちの対人距離感、そして在日僑胞への疎外意識に強い拒否反応を示してしまう。(「君はこの国を好きか」)

 二人の20代の若者は、自分の国籍から来る足元の不安定な揺らぎを常に意識せざるをえません。
 この物語を読む私は、自分では普段決して抱くことのないそうした心もとなく覚束ない思いを主人公たちとともに味わい、めまいを感じるほどでした。

 私もちょうど90年代後半に雅美同様「ハングルに感電した」くちで、かの地の言語を学び、かの地に旅をしたものでした。そしてまた雅美同様、濃度が高い国民性に臆してしまった記憶があります。

 しかし私にとって韓国は「帰国する場所」ではなく、思いのままに距離をとることがかなう国でした。それに対して俊之と雅美にとってそれは抜きがたく自らの体内に組み込まれた存在であり、同時にまた異分子として排除してしまいたいものでもあります。かかえきれない自分を強く意識し続けるこの生活の戸惑いを、鷺沢萠は実に見事に描いてみせます。

 そして、どちらの物語も若い主人公たちは困惑をすべてぬぐいきったわけではないにしろ、ともかく前に一歩踏み出す道を選びます。一夜にして彼らの苦悶が晴れるわけはそもそもありませんが、その場に戸惑いながらとどまることだけはすまいとする彼らの姿に、希望を感じるのです。

 ともに当時、芥川賞候補となっただけのことはある、読者をうならせる作品二編です。
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4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 考えさせられる青春小説 2007/6/10
形式:文庫
鷺沢さんはクォーターの在日韓国人でした。

本書は「ハングルに感電した在日3世」である雅美という主人公を通して、在日韓国人のアイデンティティの問題を爽やかに描いた小説です。

雅美は予め引き裂かれた存在として生きていくなかで、自己帰属を無意識化することで本質的に曖昧な者となり、永遠に自己保持生への疑問を問い続けます。

その疑問は単に個人のアイデンティティの問題を超え、より大きな構造を持って雅美の前に立ち現れます。

そしてそれは韓国への留学・韓国での生活を通して、激しく自らを揺さぶる波へと姿を変えていきます。

日本と韓国という2つの国の間で自らを定義しようとする彼女の行為は、結局彼女自身を本質的に曖昧な存在として再定義することと同じだったのではないかと思います。

軽めの文体でサラッと読めてしまう小説ながら、不思議と深く考えさせられる一冊でもありました。

こうした「扱い難い」テーマをうまく青春小説として昇華させ、気持ちよく読ませる鷺沢さんの筆力には恐れ入ります。

個人的な問題を小説の中に取り込みながら、過剰な思い入れを完全に排するというのはとても難しいことだと思います。

なお、併録されている「ほんとうの夏」も在日男子大学生を描いた秀作です。
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