高校生声優ユニット・ゆいかおり約1年ぶりの5thシングル。石原夏織が『輪廻のラグランジェ』『あの夏で待ってる』で一気に注目度アップした直後のリリース。主題曲はノンタイアップで、声優雑誌や、親交のある声優のラジオへの出演など、声優という立場を生かした地道なプロモーションを行ってきました。今後の活動を占う試金石と言えるでしょう。
主題曲は作詞・作曲・編曲、そして演奏のすべてをElements Gardenの中山真斗が担当。「ミュステリオン(水樹奈々)」「本能のDOUBT(飛蘭)」などで知られ、小倉唯が主演した『神様のメモ帳』の主題歌「カワルミライ」の作者でもあります(小倉もこの曲をカバーしています)。曲調はサビで表ノリになるアップテンポのロックナンバー。エレガの中ではストリングス控えめで、ロック色の強い中山さんらしい曲です。
可愛らしいPVのインパクトが強くて、正直言って曲はオマケくらいのつもりで買ったんですが、2箇所ハッとさせられる部分があって、少し泣かされてしまいました。
まず小倉ソロパートの「きっと一生誰かと心通わせ歩く旅だろう」というくだり。こんなに深い言葉は普通16歳の少女に似合いません。でも小学校時代から芸能の世界で生きている彼女は、この言葉を理解できるだけの積み重ねがあると思うんですよね。言葉に真実味がありました。
そして2人による「一回きりだよ絶対最高の出逢い&別れを」は、2人からファンへのメッセージとも捉えられますが、中山真斗がゆいかおりへ贈った言葉とも解釈できます。つまり「同年代で声優とアイドルの両方をこなせる2人が出会ったのは本当に幸運で、その縁を大切にしてほしい」。そして「ユニットである以上いつかは別れがあるのだから、日々悔いのないようにね」というメッセージですね。ここも聴いていてかなりグッときました。
つまりこの曲は「ゆいかおり→ファン」の応援ソングですが、「ファン→ゆいかおり」への思いを代弁するような曲にもなっている。冒頭の「全てが輝く君へのYELL」というフレーズなんて、ステージでスポットライトを浴びる彼女たちのためにあるような言葉でしょう。
最後にPVですが、実際に大学受験を控えた石原を「受験生」にした設定がいい。彼女の悩みを主体に、それを見守り応援するカフェ店員(小倉)という構成。スター性の高すぎる小倉は、このように一歩引いた立ち位置が丁度いい感じ。
得意のダンスをやや抑え、バストアップでカメラに語りかけるようなカットが多いのが特徴。「曲のテーマをしっかり伝えたい」という、作り手の意志が伝わってきます。小倉は16歳とは思えぬゴージャスな笑顔やアンニュイな表情を見せ、石原も以前は固かった表情がだいぶこなれて、自然な笑顔を見せています。2人とも表情の作り方が随分うまくなったので、ダンスが少なくてもいい仕上がりになっています。
総評ですが、代表曲となるだけのポテンシャルを持った1曲だと思います。かなりライブ映えしそうなので、ステージで披露されるのが楽しみですね!