ここのところ、アジア系アメリカ人の作品を読み続けている。
経済のことばかりが注目されているが文学におけるアジア人パワーも、モノ凄いと思う。
これらの作品は、英米人を読者として想定して英語で書かれているために、
本国で書かれている作品より、その国の事情に詳しくない人向きに作品が
アレンジされている点が第一の特徴であろう。
このために、日本人の読者には取り付きやすく、文化の壁によるハードルが低くなっている。
また英語で書かれているために、日本で優秀な翻訳家を見つけやすく、
素敵な翻訳作品として出版されやすい点が挙げられるだろう。
2つの文化の間で生き、しかも母国を何らかの理由で飛び出した人たちが作品を書いているのだ。
当然、作品は作者の 魂の叫びとなる、そのような作品が心を揺さぶらないわけがない。
また、先進国で想像もできないような状況を舞台として作品が書かれていることも
読者に取っては強い興味を引きつけられる点だ。
上巻のレビューでも書いたが、作者の物語りの語り口は、やや感傷的でありすぎ、そのトーンも単調である。
また、他の人のレビューにも見られるが、筆者が経験したであろう`事実`を基に作品をつくっている部分と、
完全に創作として作っている部分に明らかな 描写力の違いがあり、
事実、フィクションの寄せ集めの部分がはっきりと読者に見えてしまうという、
大きな欠点を持っていると思う。
ただ、それらの欠点を補って余りあるのは、作者の伝えたいという強い意志だろう。
聞いてほしいという強い意志をもって、どうしても伝えたい話が作品に形作られているのだ。
その話を聞いてみたいという読者が手にとったときに、奇跡のような強い絆が読者と作品の間に芽生えるだろう。
そのような読書体験が素晴らしものになるのは当然であろう。
出版社は、突出する文学の中におけるアジアパワーに目を向けて、是非多くの作品を読者に届けてほしい。