「バカー!!詳しい事情は話せないにしても、自分がフラれたんだってことくらい周りに話していいんだよ!
自分が悪者にされて、あんたが損するじゃないか。……ばか(T_T)」
小説を読みながら、私はつい声を荒げてしまいたくなった。
綺麗な言葉の響きのタイトルと、イラストカバーの淡い緑の色合いが気に入って購入した。
舞台は岩手県の盛岡市。主人公の大学生の桜井は、石の販売をする(有)佐川ミネラル社のアンテナショップ「石の花」でアルバイトをしている。
彼は「もう誰も好きにならない」と心に決めていた。
原因は2歳年上の元彼女との悲しい別れが原因だった。
彼は律儀な男で、彼女が別れ際に言った「誰にも言わないで」という言葉を守り、別れの原因を誰にも話していなかった。
そのせいで、自分が彼女にフラれたのに周りには悪者だと勘違いされていた。彼女に恋心を抱いていた男性からは、嫌がらせまでされてしまう。
その頑な過ぎる真面目さに「バカバカ!自分が振られたことくらい言ってもいいんだよ(;_;)」と、かなり感情移入してしまった。
そんな彼にも「また恋ができるかもしれない」と、思う転機が訪れる。
石の花にお客として現れた、雪衣の存在だ。透けるような白い肌の彼女は、黒の服しか身に纏わない。
自分の素性も話したがらない。彼女もまた、心に傷を抱えていた。
この小説の中の登場人物は、それぞれが心に傷を負っていて、人にあまり言いたくないような思い出がある。
でも、そのそれぞれの傷と輝きの関係が、ストーリーの中の“蛍石”という存在に示唆されている気がした。
物語全体としては、前半から中盤までが良かっただけに、後半の展開の速さには少し心がついていきずらかった。
でも、作者の関口さんの文章表現も綺麗で、購入して良かったと思える1冊だ(^^)☆