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5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
漣のように,
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レビュー対象商品: 君が降る日 (単行本)
島本作品は、主要人物(大抵主人公は必ず)が自分では抗えないどうしようもないものに流されて生きているイメージがあります。その漣みたいな揺れが心地よかったり切なかったり、今作はその要素がかなり強いように思われます。表題作の結末は、ひとつの終結を迎えてはいるものの明るくありません。「野ばら」も同様。文章がするするとはいってきて、読みやすいですが、明るいものを求めている方にはあまりおすすめしないです。個人的には島本さんの作品で1番好きな本になりました。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
せつない。,
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レビュー対象商品: 君が降る日 (単行本)
せつない、としか表現し得ない。淡くて脆い表現に、さるきちの胸はくっと詰まる。つきあっていた彼、降一の事故死から物語は始まる。その時点でもう、明るい話ではないと悟るものの、なんとか主人公に救いの手がさしのべられることを読者は祈りながら読み進めていく。さるきちもすっかり虜となり、壊れそうな志保のココロを、生まれたばかりの雛鳥を手のひらに乗せてるような気持ちで見守ったのでした。降一は友人の五十嵐とドライブに出かけ、事故に遭遇した。ドライバーの五十嵐は助かった。五十嵐は繰り返す「すみません」と。その五十嵐の心中を察してもココロ苦しい。志保の行き場のない怒り、悲しみ。「アナタが代わりに死ねばよかったのに」 そんな、決して言ってはならぬ言葉さえ、口元からこぼれそうになる。でも、彼も苦しんでいるのだ。そう、それがわかっているから、志保は怒りの矛先を見失い、いつまでも彼の死を乗り越えられずにいる。事あることに降一を思い出す、彼のセリフ。 しぐさ。笑い声。嗚呼、せつない。どうしたら、いなくなった愛しい人を、悲しすぎる過去を、忘れることができるのだろう。 死んだ隆一を接点としてつながる志保と五十嵐。二人の関係はどうなるのか。彼らは悲しみを乗り越え、“生きて”いくことができるのか。 どこまでもせつないお話でした。
2 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
恋人とは、何なのか,
By 紗梨 - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 君が降る日 (単行本)
短編3つで構成された短編集。私の印象に一番残っているのは、表題にもなっている「君が降る日」だ。 恋人の降一を交通事故で亡くした志保と 彼を死なせてしまった降一の大学の友人の五十嵐さん。 気が遠くなるような喪失感とやるせなさを抱えた二人を巡る話。 恋人が死ぬ、なんて、沢山の小説で消費されてきた ありきたりで陳腐なテーマだが、この人が書くとやっぱり違うなぁと思う。 「死」は非日常的な特別なことではなく、あくまで日常の一部で。 例え亡くなったのがいくら自分にとって大切な人であっても 私たちはその人のいない人生を生きることができる。 それは残酷なことでもなく、人間として当たり前なのだと 淡々と、でも切々と描いている。 また、島本理生の小説全体に言えることだが、 この人は人間が持っている心の中の暗い部分を描写するのが上手い。 「『本当に、降一じゃなくて、俺が死ねばよかった。』 (中略)私は彼がその台詞を口にする瞬間を待っていた。 本当に悔やんでいるなら。誰よりも責任を感じているならと。」 人には言えないし、自分でも認めたくない部分。 だが、ただ主人公の良い部分だけを描写するよりも ずっと人間らしさがあって好ましく感じる 人間と人間の係わり合いは難しい。 血のつながりも無い他人同士が一緒にいるということ。 結婚前の付き合いなんて、所詮口約束だ。 だけど、その口約束がどれだけ大事か。 そして、その口約束は普遍ではなくて、 それゆえにその口約束が有効な瞬間が、 どれだけ貴重なものなのかを、痛烈に感じた。 大切な人が死んだその瞬間に、恋人でいられたということ。 それは一種の幸福と言えるのかもしれない。
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