「君が悪い」。この頭ごなしに決め付けるタイトルに引かれて、読んでみました。
しかし、まぁ、これだけ、何でもかんでも人のせいにして生きていけるものなんだ、と半ば呆れます。そのために、人を4人も5人も殺すなんて、常軌を逸してます。自覚のない自己チューで、むしろ自分では聖人君主だとさえ思っている。しかもそれが災いして猟奇的な事件を繰り返すキャラクターを書かせたら、新堂さんの右に出る者はいませんね。
更には死体をノコギリで切り刻む描写は物凄くリアルで、とことんグロテスク。ご存知の方もおられるでしょうが、まさに「小説版・日野日出志」というべき。食前食後は読めませんよ、ホントに。
それにしても、この本の帯にも書いてましたが、「世間を震撼させる殺人犯も、一皮剥けばきっとこんなもの」なんだなぁと、妙に納得させられる文章の巧みさには脱帽です。翌日の仕事のことを忘れて、明け方までグイグイと読まされてしまいました。
例えば、よく「人は悪いことをしたとき、悪意から逃げたり、更に罪の上塗りをするのではなく、恐怖だからそのような事をやってしまう」と言われていますが、正にこの主人公もそんな部類に入るのでしょう。彼の場合、何でも人のせいにするという性格が犯罪に拍車をかけているのは間違いないですし、上記のような理由で罪を放置するわけにはいきませんが・・・。
とにかくこれは、ミステリー故あまりここで伏線を語ってしまうと、面白味が半減しますので、犯人の心理や行動に興味を持たれた方は、ぜひ実際にお読みになって下さい。