向田邦子の想い出を写真でたどる、妹である向田和子さんの手になるムック本だ。書店の平積みの高さを見る限り、かなりの売れ行きだったように思える。いまだに支持される、今だから支持される彼女であるのだろう。
内容は同じ和子さんの手になる「かけがえのない贈り物」をビジュアル化した感じで、年代を追って大量の写真と共にエピソードがつづられている。
服を手作りする時代だったことにまず驚く。特に彼女はそれが好きだったようで、自作の服や帽子を身につけた写真が登場する。私は自分で服を作ったことはないが、考えるに、服の手作りは最初に完成形が頭に浮かんで、それを細部まで明瞭にするプロセスが長いのでは無いだろうか。そこまでできてしまえば後は材料(生地)を集めて、裁断して部品を作り、一気に縫製する作業を迷うことなく進めることが出きる。裁断してしまった生地はやり直しが利かないので、事前の構想は重要だと思う。
彼女は執筆速度がすごく速かったという。きっと頭の中ではストーリーやセリフ、小物の詳細ができあがっていて、最後にそれを一気につないでいく文字に固定していく作業をしていたのではないだろうか。ただ、いかな戦略家でも飛行機事故は予見できなかっただろう。本人にも、残された人たちにも残念なことだ。