本書は、名門中学や高校の授業の様子、そこからうかがい知れる学校の
様子や雰囲気を取材をもとにまとめたものである。
ただし、タイトルでは「名門中学」となっているが、扱われている学校は、
筑波大附属駒場中学高等学校と、お茶の水女子大学附属中学校以外はすべて
私立の中間一貫校であることは注意が必要である。また、タイトルで「中学」
となってはいるが、高校の授業の様子が語られていることもあり、タイトルの
正確なところとしては、「名門私立中高の授業」といったところだろう。
開成、麻布、灘、武蔵、海城等全部で36校の学校の様子を、著者の取材を通して
まとめられている。文章自体は読みやすいのだが、36校もの様子を新書のサイズ
に収めているだけあって、内容的には深みはあまり感じられない。
各校の様子を浅く広く扱っている印象の本である。
ただそう感じる理由として、分量の少なさもあるのだが、それだけではないように
感じるのである。つまり、著者の取材が(著者が任意で選んだ)一部の特定の授業
見学とインタビューを基にしていて、校長や教頭等「学校」としての全体像を語る人
への取材が欠けていることも要因の一部のように感じた。分量が短くても、各校の
根本たる教育方針が伝わってくれば、もっと深い洞察が得られたのではないだろうか。
また、扱っている学校のバランスの偏りも気になった。というのも、この選ばれた36校は、
明らかに首都圏に偏りすぎている。首都圏で出てくる学校名と比較した場合、関西地方は
もとより、九州や中国や四国地方で出てくるべき学校がふれられていない。
特に、九州、中国、四国地方の学校は一切ふれられていないのは、バランスとしていかが
なものなのだろうか。
興味深いテーマであるだけに、楽しみながら読み進めたが、深みとバランスの偏り
が気になってしまった。