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名誉毀損―表現の自由をめぐる攻防 (岩波新書)
 
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名誉毀損―表現の自由をめぐる攻防 (岩波新書) [新書]

山田 隆司
5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

名誉権と表現の自由は時として衝突する。そのせめぎあいをどう調整したらよいのか。インターネット上の誹謗中傷や、損害賠償の高額化といった新たな問題をどのように考えるのか。七つの事件をたどりながら、名誉毀損をめぐる法的な枠組みを分かりやすく解説。表現の自由が危機にあるという問題意識から、今後の裁判のあり方を考察する。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

山田 隆司
1962年生まれ。2008年大阪大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。現在、読売新聞大阪本社記者。専攻は憲法、メディア法。所属学会:日本公法学会、日本マス・コミュニケーション学会、全国憲法研究会、関西憲法判例研究会(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 244ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2009/5/20)
  • ISBN-10: 4004311861
  • ISBN-13: 978-4004311867
  • 発売日: 2009/5/20
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 倒錯委員長 トップ500レビュアー
形式:新書
 ネットの普及によりだれでも情報発信ができるようになった。さらにtwitterの登場で、場合によっては個人がマスメディア以上の情報伝播力を持つ可能性だってある。同時にそれは、情報によって他人の名誉を傷つけてしまう危険性が高まることをも意味する。そんな時代に、裁判で争われる名誉棄損について理解を深める必要があるのではないだろうか。

 本書はその名の通り、名誉棄損を解説した新書だ。過去の7つの判例を軸に、名誉棄損という概念の意味や、その適用範囲、他国の同種の法律と比較しての日本の問題点などを解説している。新書にしては読みにくい部類に入るが、それはおそらく僕のようなずぶの素人が六法全書を開いたときに感じるのと同じものだろう。要は見慣れない熟語が多すぎるのだ。しかしその点は仕方ないのだろう。なるべくわかりやすくなっているように感じた。

 一般的にあまり知られていないが、名誉棄損とは情報の内容が真実であれば免れる、というわけではない。公共性と公益性が認められない限り、「その事実の有無にかかわらず」人の名誉を傷つければ名誉棄損罪に該当する。その一方、特に公人の報道などで事実誤認があったとしてもその事実にいきついた綿密な裏付け取材などの「相当の理由」があれば、該当しないこともある(相当性)。本書はこうした複雑怪奇な名誉棄損の概念について、丹念に解説する。また、日本での公人、公的人物という定義の曖昧さ、また相当性の範囲の狭さが報道を委縮させているといった問題点も指摘している。

 残念ながら、著者の立場上なのか本書の主眼にあるのは“マスメディア”の表現の自由だ。だが冒頭に書いたようにマスメディア以上に今発達してきているのは、個人メディアであり、これからは個人レベルで名誉棄損の裁判が増える可能性がある。その点で本書は、ネットでの事例に関しては手薄の感は否めない。しかし、入門編としてはうってつけの新書といえるだろう。
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7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 清高
形式:新書
1.内容
抽象的な内容は、名誉毀損という概念の説明、具体的なケースの検討、これからのあるべき名誉毀損裁判、ということになろうが、この本が強く主張している内容は、現在の名誉毀損裁判においては、公人(政治家など)についての表現の自由に対して厳しいので、そのような人物に対する表現行為については、現在の名誉毀損(罪)における免責3要件(刑法第230条の2)ではなく、日本版の「現実的悪意の法理」(挙証責任を原告に転換し、原告が、被告(表現者)の虚偽等を立証すべきであるとする法理。私の要約。詳しくは本書をお読みください)。を取り入れるべきだ、ということになろう。
2.評価
難しい問題だが、直感的には、私も著者の主張に賛成したい。公人の動向を知ることは、とりわけ政治を考えるうえで重要だと思うからである。また、有名な事例、最近の事例に基づいて構成されているところもよい。以前読んだ『名誉毀損裁判』(浜辺陽一郎著 平凡社新書)に比べて、(学者らしく?)表現者と名誉権を侵害された者の利益を、バランスよく図っているところがよい(とりわけ、一般人と、公人を分けているところ)。以上3点により、星5つ。とりあえず、名誉毀損について、コンパクトに知りたい方には、現時点ではこの本を薦める。
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 宣長さん トップ50レビュアー
形式:新書
 素朴な問い「真実の報道も名誉毀損に?」即答できれば 裁判は簡単だ。事ほど左様にいかないから、ものごとはややこしい。個々の事例をつぶさに仕分けしていかなければならない。
 現職の総理が小出版社を訴えた(森喜朗首相対雑誌『噂の真相』事件)
 意見が名誉を毀損したら(長崎教師批判ビラ事件)
 ネット上の中傷をどうするか(動物病院対2ちゃんねる事件)
 事実を真実と信じたことに「相当の理由」があればよい(「書名狂やら殺人前科」事件)
 刑事事件でも「相当性」の基準が使われる(『夕刊和歌山時事』事件)
 事前差止めはどんなときに認められるか(『北方ジャーナル』事件)
 損害賠償が高額化する(女優X氏対『女性自身』事件)
これらの事件は、多かれ少なかれマスコミで取り沙汰されたので、一般の人にも知られている。要するに、「表現の自由の保障」と「名誉の保護」と、どちらも大切なことだけに、そのせめぎあいが第三者には興味深いことなのである。ここでもやはり、事実・真実・情報による齟齬が焦点化される。一筋縄ではいかないものを、知りたがる「知る権利」が割り込んできて、事態を錯綜・加熱化させる。本書は新書版という制約の中で、問題点を簡略にまとめようとする努力は買う。ただし、各事件とも、こんなところで闡明化できるようなものではない。
近代情報化社会のかかえる病根のようなもので、大なり小なり「宿根」なのである。 
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