この本は、本当に面白い本です。
数学者である藤原正彦先生が、自身が名著として選んだ本を生徒に読ませ、感想を述べさせ議論するというという講義を掲載したものです。
本の選択は、古来日本人が備えていた武士の精神を伝える本「武士道」「余は如何にして基督教徒となり呼」を始めとして、惻隠の情や古来からもつ日本人の強さを伝える「山びこ学校」「忘れられた日本人」など、現代の我々が読んでハッとさせられるような本ばかりです。「国家の品格」を著した藤原先生らしい選択ですね。
そして、学生達と藤原先生のやりとりが読んでいて非常に面白い。
学生達は1週間に1冊というペースで、中には慣れない文体で書かれた本を読み、それに対して思ったことを述べていますが、自分の実感と比較しよく考えた上での発言が多く、「賢い子達だなぁ」というのが実感です。
また、その答えに対しての藤原先生の答えも、自身が本もしくは本の著者に対してもっている考え方を伝えつつ生徒たちに考えさせるというものになっています。講義として非常にいい講義であると素直に感じます。
藤原先生の主張は、明快でユーモアがありつつも中にはステレオタイプ的なものを感じることがあります。しかし、それでもその意見に対して私が自分なりに考えを持つ機会になる、というのが今までの著作を読んできての印象でしたし、藤原先生の本の魅力だと考えていました。
それが本の世界を飛び出て、講義という形で発現したのが本書という感じです。
私自身、過去を振り返るときは自分のことも含めて否定的なスタンスが多いと思います。
このように、ポジティブに過去に向き合うというのは非常に大切なことだと感じましたし、それを学生時代に行うということは、若者たちがポジティブに未来に向かっていける心構えができるような気がします。
これは間違いなく「名著による名講義」だと思います。一読をお薦めします。