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6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
昭和作家の圧倒的な筆力とメッセージ,
By CheyneWalk (英国ロンドン) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 名短篇、さらにあり (ちくま文庫) (文庫)
この短編集は大正、昭和に活躍した作家の短編集であるにもかかわらず、全く色あせていないことに驚く。この中でも、圧倒的だったのが、林芙美子の“骨”。当時でもエリートであった、主人公の道子が、戦争未亡人となった上に病人を抱えて娼婦業に身を置く事に余儀なくされる。二人の病人と子供を抱え、道子の体も弱いという、極端な困難と困窮の中を描写していてもなお、若くして亡くなった作家林芙美子の語り口はなおもって力強い。林は、人の心を描写するというよりも、登場人物がその目に入るものをどうみているかという事、また、周りにどんなものがあるかという事を淡々としかし絶妙に明確に描く事によって、彼らの心を浮き彫りにするので圧巻である。 戦争学徒労働によって病気になり死を迎えんとしている弟のわがままに対して、道子は思わず ”一体どうして私が皆を毎日食わしているから知っているの?.....私に食ってかかるより戦争を呪うがいいやっ。療養所でもどこでも行っておくれよ。”といってしまうと弟は、“俺、ここにいる。どうせ死ぬならここにいる。”消え入るような細い声で泣きながら...。” 戦争に勝つ事を無垢に信じて、ひたすら働いた少年の余りに早い死をまえに、その不合理を思っても誰もが全くの無力だ。 この短編で流れていくのは、可憐な悲しさでなく、現実的な事実としての不幸であり、その現実感は、時代を超えて飛んでくる。 不幸であれ、幸福であれ、どの時代であれ、苦しみ、ただ生きたというこの小説は、人生の真髄とは、ただひたすらに生きて、当然の用に死ぬのであるという中にある事を直球で伝えてくる。
9 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
味わいがあって最高に楽しいアンソロジー,
By
レビュー対象商品: 名短篇、さらにあり (ちくま文庫) (文庫)
北村薫と宮部みゆきが選ぶ「名短篇、ここにあり」の続編です。「ここにあり」よりは時代が遡りますが、選ばれている作家は大御所揃いです。その中でもベストの短篇が選ばれており、どの作品もそれぞれの味わいがあって最高に楽しいアンソロジーになっています。 個人的には、「骨」(林芙美子)「不動図」(川口松太郎)が好きです。共に余韻のある終わり方で、人生を考えさせられてしまいます。 人情物ということでは、「紅梅振袖」(川口松太郎)が素晴らしいと思います。胸をじーんとさせてくれる一途な思いが伝わってきます。 軽いコミカルなものでは、「押入の中の鏡花先生」(十和田操)「ぼんち」(岩野泡鳴)がいいです。 怖さを求めるのであれば、「鬼火」(吉屋信子)です。 その他には、「華燭」(船橋聖一)「出口入口」(永井龍男)「雲の小径」(久生十蘭)「とほぼえ」(内田百'閨j「ある女の生涯」(島崎藤村)が掲載されています。 巻末は、北村薫と宮部みゆきの対談ですが、これも面白い内容になっています。
2 人中、0人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
多くの人に忘れられた、作品たち,
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レビュー対象商品: 名短篇、さらにあり (ちくま文庫) (文庫)
戦前の作家の短編集。学校の授業で、名前だけは知っていた人たちの作品。 読んでびっくり。 改行が殆んど無く、文章が長めで読みづらい。 でも、味のある作品が多かった。 編者二人の対談を読んだ方が、魅力が増す。 時代が変わっても、人生の哀しさ、辛さは変わらない。 奇抜な展開の小説は、人の記憶に残りやすい だが こうした地味な短編も、いい。
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