私がチロリだったら・・・と考える。
虐待されたのか、障害を負った足。
真っ直ぐに座ることもできない体。
その上、生まれたばかりの五匹の子犬と共に
ゴミのように捨てられた。
チロリは、子犬達を守るために、鋭い眼光で唸る。
しかし、チロリは著者のもとでセラピードックとなり、
病んだ人の心に灯をともした。
私はチロリになれるか・・・返答に窮す。
名犬チロリを語る時、育ての親である著者・大木トオルの存在を
忘れてはならないと思う。
チロリの「アイコンタクト」は、まわりの人間に幸せをもたらした。
かつて捨て犬だったチロリの瞳は如何にして変わっていったのか。
捨て犬とそれを救った人間という間柄から信頼し合う親子へと
なっていく心情に涙がこぼれた。
「名犬チロリ」刊行の二年後。2006年3月16日。
チロリは、懸命の看護空しく、この世を去った。
しかし、その翌年、歌舞伎座に程近い築地川銀座公園に
五匹の子犬と共にブロンズ像となって甦った。
その除幕式で、著者であるブルース・シンガー大木トオルは、
最愛の娘・チロリへの鎮魂歌「EYE CONTACT」を歌ったという。