著者の田村 和紀夫さんは、国立音楽大学大学院修士課程で音楽学を専攻された方です。現在、西洋音楽史と音楽美学を教えておられるわけで、いわばその道の専門家です。
「新音楽鑑賞法」というサブ・タイトルがついていますが、音楽を鑑賞するにあたって、「様々な音楽の知識があったほうが、もっとよく理解できますよ」という感じで書かれています。80以上の譜例が掲載されていますので、それが本書の理解を助けてくれます。
相当本格的な音楽解説ですので、音楽の初心者の方にとっては難しい内容だと感じましたが、音楽愛好家、特にクラシックファンにはとても知的好奇心をそそられる内容です。文章は平易で、話題も多岐にわたりますので、読み進めていくうちに知識も相当得られると思いますし、興味深い記述が続いていました。
流石に音楽を分析し、解説する仕事に従事されているだけあって、とても論理的な音楽解説書です。音楽と言いますと、感性や感覚を重んじますが、このように音楽を体系だてて、理論的に分析していただくと、音楽の骨格だけでなくその作曲家の本質部分も見えてくるようです。
実際その音楽を聴きながら、本書を読み進めていくのが一番の利用方法だと思います。きっと今まで聞こえていたものが少し違って聞こえるかもしれませんねえ。