犯人が巧みな仕掛けを演出する因縁めいた試写会事件に、連続強盗殺人犯からの脅迫状が届いた物騒な結婚式事件に、殺害現場の棚にあった本や
ミニカー等が全て逆さまに引っくり返してある奇妙な事件に、超人気ドラマの発端となる驚きの真相が隠された事件の四つを収録。
推理物、探偵物のリアリティからは外れ平々凡々な舞台設定が続くが、それ故コナンの俊敏な頭脳が働く働く。個人的に、三つ目の事件が本当に
好きだ。所謂、倒叙形式で描かれる王道の様な構成だが、犯人(主役)が咄嗟に採らねばならなかった行動の意味と、被害者が暗示した意味の
解釈が面白く、また犯人に大切な証拠を湮滅させないが為に、無邪気な子供の笑顔を装って呟くコナンの何気ない発言の裏に隠された含意が
素晴らしく妙。
基本的に間延びを批判されるこの漫画だが、それはある意味作者が意図的に初期の荒唐無稽さから段階的に推理の過程に変化を生じさせていて、
判り易いアクションを伴う推理ショーから、伏線重視の内容に漸次的に移行しているからだろう。最早、伏線は緻密と表現するより神経症的な程
に細かく配置されていて、一見すると起伏がないが実はその分伏線の回収スピードが上がっているから寧ろ上質に進化し続けていると個人的には
思う。
思うに、青山さんはミステリのプロットに精通しているし文才もあるから小説書いても面白そうだが、でもそうなるとコナンみたいな頭の回転が
異常な探偵だとサスペンスがまったく成り立たんわな(笑)。やっぱ漫画だからこその醍醐味がある。