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名張毒ブドウ酒殺人事件――六人目の犠牲者 (岩波現代文庫)
 
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名張毒ブドウ酒殺人事件――六人目の犠牲者 (岩波現代文庫) [文庫]

江川 紹子
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

1961年3月、三重県と奈良県にまたがる小さな村の懇親会でブドウ酒を飲んだ女性五人が悶死。裁判所は「三角関係のもつれによる犯行」として奥西勝に死刑判決を下した。しかし、その判決根拠となった村人たちの供述には矛盾が目立ち、唯一の物証である歯型鑑定も疑問だらけだった――。注目の再審事件の真相に江川紹子が迫る!

内容(「BOOK」データベースより)

一九六一年三月、三重県と奈良県にまたがる小さな村の懇親会でブドウ酒を飲んだ女性五人が悶死。裁判所は「三角関係のもつれによる犯行」として奥西勝に死刑判決を下した。しかし、その判決根拠となった村人たちの供述には矛盾が目立ち、唯一の物証である歯型鑑定も疑問だらけだった―。注目の再審事件の真相に江川紹子が迫る。

登録情報

  • 文庫: 368ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2011/3/17)
  • ISBN-10: 4006032137
  • ISBN-13: 978-4006032135
  • 発売日: 2011/3/17
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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形式:文庫
作者の江川紹子のわかりやすい優れた筆致にぐいぐい引き込まれる。

村の住人たちのなんとしても地域共同体との輪・絆を守ろう、という意識と、警察・検察側のなんとしても犯人を挙げて迷宮入りにするまいという意識、両者の意識はまさに同舟異夢というものだが、この二つの意識が相乗作用して奥西勝を、まさにいけにえというかたちで有罪に仕立て上げていった。

読み出してすぐ印象的なのは、村の住人たちの供述が不合理に変わっていくことだ。
最初は明晰に筋が通っていた村人の証言が、何回かの警察官を交えた「話し合い」を経てあいまいな供述に変わっていく。時間も平気で3時間もずれる。最初は合理的にきちんととどめていた時間の記憶が、わかりません、忘れました、の一点張りになる。

奥西勝の供述も肝心なところで、間が抜けている。わたしが特に重視するのは次の2点だ。

1.事件前夜、準備工作で竹筒に毒を入れたときに、来客があったかどうか記憶が定かでない。

2.会場でワインのビンに毒を入れたときに、某女性会員や電線修理人がいたかどうか記憶が定かでない。

いずれの行為の最中でも周囲に人がいたかは、犯人にとって最重要な関心事だ。何人もの人間を殺そうかという恐ろしい企(たくら)みを準備しているときに、人が来たかどうか忘れるはずはない。もし周りに人がいれば、自分の行為をできるだけわからないように、十二分に気をつけながらするだろう。またそのときのびくびくした不安感は、いつまでも強く記憶に残るはずである。特にワインのビンに毒を入れたときに、見咎められたら一巻の終りだ。自分とほぼ時間を同じくして公民館に着いた女性の動きは、最大限の関心事のはずだ。それなのに奥西勝の記憶は、そのことにつき驚くほど無頓着だ。

裁判官の判断も恣意的にコロコロ変わる。「こんな『それなり』の決定で死刑台に送られるほうはたまらない」(p.305)。この本が提起している事件の矛盾点を、一つ一つ丁寧に取り上げれば、奥西勝無罪の判断にどうしても傾く。2005年の再審決定要旨に記されているごとく、「動機、準備、実行、事後の行為の全部にわたって不自然、不合理な点が多く、したがって、自白の信用性には重大な疑問がある」(p.347)。

そこを“それなりに”適当にやってしまえば、奥西勝有罪と結論付けることもできるのだろうが、牽強付会というか相当強引に且つ雑にストーリーを作らなければできないことなのである。40年という歳月を経ながら、工夫を凝らして新しい証拠を積み上げていった弁護団の努力に舌を巻くと同時に、裁判所ももっと丁寧に事件を追い、早期の解決に腰を上げるべきであると思う。
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By mozartfan トップ500レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫
 人権感覚が鋭敏で強権にペン1本で戦う常識人、江川紹子の旧作(文藝春秋,新風舎文庫)再刊。せっかくいったんは開いた再審の門が2010年4月に再び破棄され高裁に差し戻された決定を受け刊行された。
 クリスティーに『無実はさいなむ』という自己評価の高いミステリーがある。真犯人として処刑された者のアリバイが明らかになったことから事件の関係者のなかに犯人がいるという疑心暗鬼が家族を崩壊させる物語。名張毒ブドウ酒殺人事件はまるでそのミステリーのような様相と展開をする。赤川次郎の「卒業研究殺人事件」(『女優志願殺人事件』所収)も連想させた。
 冤罪事件の構図そのままであるが、新証拠も科学的に検討しない裁判官の態度には疑問を持った。江川氏が文庫版あとがきで言うように、再審請求にも裁判員制度のような国民参加の道を開いてはどうだろうか。
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形式:文庫
著者は、被告は無実という立場(或いは限りなくそれに近い立場)から本書を書いていると同時に、事件の舞台となった集落の人たちが、被告を犯人と決めつけた上で証言を行っていると批判している。
集落の人たちからまともな証言を引き出せなかったイラ立ちが文章に色濃く出ている。

事情聴取や裁判における集落の人たちの証言の変遷を、図や表にしてくれたら分かりやすかったと思うが、
それをせずに延々と文字で検察や裁判所のやり方を批判している。
そして当時と全く同じ薬品や物品がないのに、仮定の話で結論に持って行こうとする姿勢が目に付く。

要は真犯人探しの本ではないのだ。そこが私には不満だった。
そして真犯人に関しては、当時の物証もなく、人々の記憶も曖昧になっているので、今さら特定するのは難しいなどと書いている。

原著は94年に書かれたものだが、現地の人たちに対して少し攻撃的な記述が目立つのにも違和感を覚えた。今だったら違う書き方になるかもしれないが。

本書の中にある
「何も分からない支援グループが来て、住民感情を逆撫でする行為が一番嫌だった」という
現地の人の言葉がダイレクトに伝わってくるような本だった。
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