軍事の天才といわれるナポレオンが、こんなことを言っていた。
「私は天才ではない。数々の戦いに私が勝利することができたのは、
アレクサンドロスやカエサルに関する戦記を、若い頃に繰り返し
読んでいたからだ」
衆に秀でた人間には、すぐれた手本が存在するものである。
カエサルは常にアレクサンドロス大王を意識していたと言われているし、
アレクサンドロスにはフィリッポス2世という偉大な父王の存在があった。
このような歴史を紐解くまでもなく、すぐれた先人たちのノウハウを模倣することが
有益であることは、多くの人々が理解していることである。
しかし、文章を書くということに関していえば、そういったことが一般的に
重視されていないように思える。
昔の人は、すばらしい文学作品をみつけると、皆こぞって書き写しをしていたという。
私も以前、原稿用紙2000枚分ほどの小説を毎日2時間かけて書き写しを
試みたのだが、結局挫折してしまった。
この本によると、書き写しは1日10分で良いのだという。
題材として、宮沢賢治や芥川龍之介などの代表的な作品が、実際に
掲載されている。
それを書き写していくわけだが、ただ漠然と書き写すというのではない。
作品の一区切りごとに書き写しのポイントなどが説明されてあり、名文の
エッセンスを少しでも会得できるよう様々な配慮がなされている。
後半は、自分で文章を作り上げていくための、基本的なテクニックを
身につける方法が紹介されている。
様々なスタイルの文章を書くことができるように、、文章力の基礎を
総合的に底上げできるような内容となっている。特に、仕事で文章を書く機会が
ある人にとっては、有用性が高いといえる。
文章を書くのが苦手な人にとっても、ある程度文章が書ける人にとっても、
学ぶことが多い本だと思う。