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名作旅訳文庫1 小樽・函館 『蟹工船』小林多喜二
 
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名作旅訳文庫1 小樽・函館 『蟹工船』小林多喜二 [単行本]

小林 多喜二
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

近代文学の名作を完全収録。随所に併記された「旅訳」で、小説の舞台が追体験できる文庫シリーズ。

<主な旅訳>
「多喜二の第一希望は『中等教員』だった」
「多喜二が勤めた『拓銀』の建物は観光スポットに」
「公園通~水天宮は多喜二のデートコース」
「最期の『デスマスク』が小樽文学館に」

内容(「BOOK」データベースより)

函館から北洋へ出航した蟹工船。小樽で労働者の苦闘を描いた多喜二。現代にも通じる労働者の闘いを描いた小林多喜二の足跡を徹底調査。小説のあの名場面と「旅訳」を合わせて読めば、多喜二の熱い思いが心を打つ。

登録情報

  • 単行本: 176ページ
  • 出版社: ジェイティビィパブリッシング (2009/12/15)
  • ISBN-10: 4533077242
  • ISBN-13: 978-4533077241
  • 発売日: 2009/12/15
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
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旅訳の感想 2012/4/22
形式:単行本
旅訳シリーズは、ほとんど見開きごとに、解説が入る。大まかに三種類。小説の舞台や、筆者の生地、今も残る記念碑や文学館など、現地に赴いてみたいと思わせる資料がひとつ。また、筆者の思想や生活、人間関係などの情報がひとつ。作品を楽しむための、プラスアルファの情報がひとつ。

わたしは札幌在住で、小樽に赴くのが非常に好きだ。ゆかりの建物や土地と、多喜二の生活や思いなどが重なり、臨場感があった。旅訳は初めて読んだが、良い試みだと思う。既読の作品でも、また違った角度から味わえると思う。

ただ、解説をいちいち読むことで、読書のテンポ感は損なわれてしまい、まどろっこしい感もある。その点は残念。解説として、巻末にまとめてくれてもよかったのではないだろうか。

小林多喜二という人は、拓銀勤務で、労働者階級より、ずっと良い暮らしをしていたのに、労働者のことを思い、安寧な生活を捨て、共産思想と活動にのめりこみ、最後には警察に捕まり、拷問を受け、亡くなった。社会の底辺にいる労働者を思いやり、作品を残すことによって社会を変えていきたかったのだろう。

蟹工船の労働者は、死に至るほどの過酷な労働の中、誰に教えられたものでもなく、労働者の権利に気付き、組合活動の前衛のようなものを発生させていく。小さく灯った希望。

契約社員のわたしも、社員とは名ばかりの時間給での労働者。最短で最善の労働を求められ、それができなければ、会社はクライアントから仕事を取り上げられる。競争により、安い賃金で労働力を売り渡すわたしたち。働いても働いても、給料は少し前の時代の半分ほどで、家族を養えるほどの額には満たず、苦しい生活を強いられている。蟹工船の労働者ほどではないが。

この世の中をよくしていくにはどうしたら良いのだろうか、何か希望はあるのだろうかと、考えさせられずにはいられない。
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