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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
間取りからキャラや時代を想像,
By 林田力 (hayariki.net) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 名作マンガの間取り (単行本)
本書(影山明仁『名作マンガの間取り』ソフトバンク クリエイティブ、2008年)は建築コンサルタントである著者がマンガを中心としたフィクション作品に登場する建物の間取り図を作品中の描写を元に作図したものである。取り上げる間取りは『ドラえもん』の野比邸や『サザエさん』の磯野邸など住宅がほとんどである。一方で『ナニワ金融道』の帝国金融や『機動警察パトレイバー』の特車二課のように事業所の間取りもある。マンガに登場する間取りを集めただけでも斬新な企画であるが、事業所の間取りが出てくるとは想像できなかった。著者の設計経験とマンガ読書量の豊富さがうかがえる。 実際に作品中の建物の間取りを作図すると、様々な無理や矛盾が生じており、著者の想像で補ったという。設計士から見た突っ込みどころを、ユーモラスにコメントしている。 著者は「あとがき」で家族仲がよく、特に母親の存在が大きい作品の建物は作図しやすかったと感想を述べる(110頁)。人間関係における住環境の重要性を示唆している。これは現実世界の問題であるが、マンガの世界にも適合している点が面白い。 本書で取り上げた作品の中で記者(林田)にとって最も馴染み深い作品は『ドラえもん』である。実際に野比邸の間取り図を見ると部屋数の多さに驚かされた。居候のドラえもんを除外すれば、子ども一人の三人家族であるが、間取りは5DKである。のび太の幼い頃は祖母と同居していた描写もあり、2階の一部屋が祖母の部屋だったと推測される。1階には居間(和室)と洋室(応接室)が別々に存在する点が特徴的である。 気になった点は、のび太の机が南向きの窓に面して置かれている点である。直射日光が当たる南向きの場合、一般に集中力が途切れがちで、落ち着いて勉強しにくい。のび太は、机に向かうと5分で欠伸が出る体質の持ち主であるが、机の向きも一因と思われる。机の向きを変えると少しは勉強好きになるかもしれない。 これに対して『あたしンち』の立花邸では子ども部屋を北側の部屋(窓は東向き)にしている。立花家では両親がユニークなキャラクターであるのに対し、相対的に子ども達は常識人である。キャラクターと間取りの相関が感じられて興味深い。 日本人は農耕民族としての伝統のためか、陽光を最大限に享受できる南向きの人気が高かった。しかし、日照が強い南向きは勉強部屋に向かない上に、急激な室温上昇や壁紙・家具・カーテンの退色などのデメリットがある。反対に北向きの窓ならば年間を通して柔らかく安定した採光が得られる。また、植物は南を向く性質があるため、北向きの窓は緑地への眺望に適している。南向き神話は文字通り神話になっている。 それを端的に示したのは記者が原告となって、マンション売主の東急不動産を訴えた裁判である。この裁判では東京地裁平成18年8月30日判決で北側の窓の日照阻害などを理由に売買契約の取消しが認定された(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社、2009年)。 この判決は不動産売買契約について消費者契約法に基づく取消しを正面から認めた点で先例的価値を有するが、北側の窓からの日照阻害を重要事項と認定した点にも意義がある。日照といえば南向きという図式の崩壊が裁判でも裏付けられたのである。 本書はタイトルに名作マンガとあるように、古い作品が多いが、その中で相対的に新しい作品に『カードキャプターさくら』がある。この作品の木之本邸は一戸建てであるが、階段を南側に配置しており、南からの居室への日照は期待できない。ベランダは西向きに設置している。ここには南向き神話は見られない。時代別に作品を整理して間取りを分析すると、時代の傾向も発見できる。 間取り図からキャラクターの特徴や作品の時代に思いを馳せることができる。本書は様々な点で想像力を刺激させてくれる一冊である。
33 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
隠れた人間関係が垣間見える,
By senninyou (大阪府) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 名作マンガの間取り (単行本)
「ドラえもん」「巨人の星」「Dr.スランプ」「キャッツ・アイ」「うる星やつら」「じゃりン子チエ」「天才バカボン」「サザエさん」「魔法使いサリー」「ドカベン」など懐かしのマンガ・アニメから、「太陽にほえろ」「吾輩は猫である」などのドラマ・小説まで約50の平面図とコメントが掲載されている。特にコメントが面白いので、要チェック!!アニメやマンガが大好きな建設会社勤務の著者が、最初に描いたのは20年前の「サザエさんの家」。さらには、ドラマや映画、小説や童話や歌からも図面を描くようになったとのこと。 以下に「あとがき」より著者の言葉を引用する。 登場人物の言動から、その建物が新築で建ったときの背景を自分なりに考えたり、ときには本人になりきって作図をはじめる。作図しやすいマンガやアニメは、とても家族仲が良い。とくに、母親の存在が大きいとなおさら。逆に作図しにくいのは、子どもが主役の場合で、親の登場回数が少ない場合。 図面は空想で補っている部分が多く、正確かどうか怪しいとの前提だが、間取りを眺めていると、思わず想像力を掻き立てられる。図面からは登場人物の隠された人間関係までもうかがえるかも・・・
28 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
新しいマンガはDr.コトーぐらいです,
By ケン (埼玉県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 名作マンガの間取り (単行本)
真四角でコンパクトな本で(横13cm・縦14cm)カバーに描かれてる緑色の家が出っ張ってて可愛い本です。私は今高校生なのですが、新聞で紹介されたらしく親が買ってきました。まだ全部読んでいないのですが、私なりの意見でレビューします。 全部で50の作品の家が登場しますが、この仲で最も新しいマンガはDr.コトー診療所ぐらいじゃないでしょうか。 現役で見てたアニメでは「ちびまる子、サザエさん、ドラえもん、クレヨンしんちゃん、あたしンち」ぐらいしかわからず、後はナニワ金融道、めぞん一刻、ブラックジャックなど以前マンガで読んだやつは凄く懐かしく思いましたが、 後は名作劇場とかクッキングパパ系のやつで、名前だけは知っているアニメっていうのが多かったです。 一つの作品につき左側に挿絵・右側に解説という構成なんですが、元から解説の内容がとても短く、それでいて名作だから元ネタを知ってるだろうという前提があるのか作品自体の解説はほとんどありません。もっぱら家の解説ですが、専門的というよりは作者の意見みたいだという感じをうけました。 でもあたしンちやクレヨンしんちゃんの家は、前々から広いなーと思っていたので図面を見たとき共感しました。 他作でも「キッチンが入らないから隣に突き出た」とか「一階の広さがこれだと階段がこの長さはありえない、二階と一階の広さが釣り合わない」とか面白かったです。 でもやっぱ解説の内容が短いのは否定できません。逆にそれが知らない作品でもパーと流し読みできるので長所でもあり短所でもあり、無難な暇つぶし本という評価に落ち着くかと思います。 これをどう見るかは読者次第ですが、元ネタを知っている人にとってはもっと詳しく解説して欲しい、知らない作品は丁寧な説明をしてほしい、という配慮が少ないのも事実だと思います。 これで1000円は内容が薄い価格だと思いましたが、悪い本という印象は持ちませんでした。 立ち読みで十分という他の方のレビューも上記の意味で的を射てると思いますが、つまらなくはなかったです。暇つぶしとして十分役に立ってくれました。 おそらく次回には現代編が発売されるだろうと思ってます。
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