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本書は、そういう著者が心底好きで敬意を持ってファンとして見てきた志ん朝師と父志ん生について書いた文章をまとめたもの。著者の他の本で見られるような一種の醒めた目線で芸人を見た記録と言うより、志ん朝という存在と同時代に生きる喜びと喪失感が語られる。つまり思い入れが深い。
と、いってもそこは玄人とでも言うべき著者、若い時にテレビで大人気を博してのちの身の処し方など冷静に見ているところもある。
本書で一番の強調されている点は、落語における”江戸言葉”の重要さ。下町生まれの著者のある意味での特権だが、江戸言葉の中で生まれた志ん朝師だからこそ平成に名人として演じられたのだという事が語られる。同じ意味で、地方出身の”落語おたく”は本書ではやや嫌われている感がある。
確かに下町言葉や山手言葉(山手だって普通の標準語と少し違う)といった東京弁をしゃべる人は、若くて60過ぎだろう。その意味では、著者の言う志ん朝師とともに江戸落語は終わるというのは当たっているのか。
あくまで好事家向けの“資料”としておススメの一冊。
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