家族・親族が会社経営の中核を担い続ける同族経営。
HONDAの創業者・本田宗一郎氏の、「自分の身内は会社に入れない」と同族経営を否定した話が清々しい話として語り継がれる一方、同族経営というと「遅れた」「稚拙な」といったイメージがあるように思います。私も同じようなイメージを持っていました。
しかし、本書を読んで同族経営の価値を強く感じました。家族・親族という、現在はもちろん過去・未来も含めたつながりを感じやすい存在があるからこそ、目先の利益や成果にとらわれないで、企業にとって大切なビジョンを守り続けられる。特に、資本の論理が容赦なく突き進むく現代こそ、こういった同族経営の価値が増しているようにも思います。
著者は自分自身が同族経営の4代目として会社を倒産させたという失敗体験を持っています。その体験を踏まえつつ、この同族経営を「ファミリービジネス」と呼びかえて、新しい視点で見直し、その強みを生かそうという活動を行っているコンサルタントです。本書からは著者の静かですが熱いメッセージが伝わってきます。
もちろん、同族経営には難しい部分があります。ファミリーとビジネスの境界線をどうマネジメントしていくのか? 同族内の対立にどう対処していくのか? 同族と非同族社員との関係はどうするのか? そして、世代交代は? 本書はそんなポイントと向き合い、わかりやすい言葉で解説しています。これは著者自身が実際に経験しているからこそできる表現でしょう。
振り返れば、これまでの日本企業は「会社は家族」と呼ばれたように擬似家族として、家族的要素を強みに持っていました。それが崩れ、今は次のあり方を求めている時期かもしれません。企業の中には、昔の家族的要素を取り込もうとしているところもあります。非同族経営であっても、本書が体系的に解説する同族経営の仕組みづくりから学ぶことは多いと思います。