文庫版で全1500ページのこの大作を読み終えた。最近なかなか読書に時間を割けなかったのだが、時間を費やした価値はあったと思う。私小説的な語り口で吉里吉里国という疑似国家を描くことで戦後日本の様々な問題点を描いたこの作品の意義は、文学的にも、さらには政治学的にも小さくないのではないかと思う。さらにズーズー弁をルビを振ることで表現するという試みは見事にはまっている。特に私は東北地方の出身であるため、吉里吉里人の言葉が妙に心地よかった。方言を読んで心地よくなったという体験をしたのはこれが初めてであり、言葉に並々ならぬ関心を寄せた筆者にとっては面目躍如となった作品なのではないか。
ただ、私見によれば、本作品は長過ぎた。上巻は夢中になって読み終えたが、読み進めていくうちに新鮮さが薄れて行き、マンネリ化が進む。これは長編にとっては仕方が無いことではあるが、筆者が得意とするハチャメチャな物語展開は、やや度が過ぎているのと、同じようなネタが多いということにより、一層強いマンネリ感を生み出してしまっている。物語の終わり方もちょっとあんまりなのではないかと思った。
読み方としては、時間がある時に一気に上中下巻を読んでしまう、特に中下巻は読み流してしまう、というのがいいかもしれない。