本書は、日本外交史を専門とし
学習院大学教授である著者が、
吉田茂を通して「昭和」を概観する著作です
1920年代を理想とする吉田が
激しく移り変わる政治的状況の中で
どのようにその信念を貫き、どのような妥協をしたのか
吉田とその周囲の政治家らの言葉に基づき検証。
さらに、20年代の風俗を伝える週刊誌や、
同時代を生きた山田風太郎らの手記を紹介し、
吉田が何を理想とし、それがどのように実現したのかを論じます。
外務省や自由党内部の主導権争い、
東条や近衛に対する想い、
など興味深い記述は多いのですが
とりわけ印象深かったのは、
憲法改正に対する吉田の反応。
筆者が「ナイーブ」と評する白州次郎との対比により
吉田のリアリストさが伝わるとともに
本質的な議論が徹底しなかった一因を垣間見れたように感じました。
自由主義者、リアリスト、保守主義、平和主義、そして親米―
多彩な側面を持つ吉田茂を通じ、「戦後日本」を鳥瞰する本書。
政治史に興味がある方に限らず、多くの方に読んでいただきたい著作です。