愛と魂のこもった写真集です。
それもそのはず。
この作品を手掛けた人気写真家・吉村和敏氏は、今からちょうど20年前に、“生まれ故郷の信州に似ていると思った”カナダへ飛び、中古車を購入し、1か月かけて彼の国を横断し、そうして出会ったこのプリンス・エドワード島にこころ奪われ、約1年間滞在します。
その後も、季節の折々に訪れては、その魅力をカメラに収め、そうしてプロ写真家としての道を、着実に歩んでいきます。
本作は、この20年もの歳月の中で、作者が切り取ってきた、この土地の風景に溢れています。
今の自分があるのは、あの出会いがあったからこそ…。
誰しもそんな出会いが、人生の中には必ずあるはず。そうしてその特別な出会い、特別な相手や場所に対し、いつの日にか、何らかの形で、恩返しが出来たなら…と強く思うもの。
作者にとり、それはカナダという国であり、その東端に浮かぶプリンス・エドワード島なのではないでしょうか。
そんな温かな想い、温かな眼差し、更にはシャッターを切る瞬間の、厳粛な空気が、美しい写真と詩的な文章、この作品全体から、ひしひしと伝わってきます。
夢中になれる対象と出会い、そうしてその対象を想い続ける、ぶれない姿勢と強い意志を持つ者は、とても幸せであり、とても凛々しい。
吉村さんが手掛けられた“プリンス・エドワード島”の作品集では、『プリンス・エドワート島―世界一美しい島の物語』、『草原につづく赤い道―プリンス・エドワード島の12か月』もお勧めです。また島との出会い、そうして写真家になるまでの物語が綴られた『緑の島に吹く風』も、読み応えがあります。