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吉本隆明1968 (平凡社新書 459)
 
 

吉本隆明1968 (平凡社新書 459) [新書]

鹿島 茂
5つ星のうち 3.2  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 1,008 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容紹介

吉本隆明は何を断罪し、守ろうとしたのか。そして、いかに「自立の思想」にたどり着いたのか。「永遠の吉本主義者」が68年当時に入れあげた作品を精読。吉本思想の核を捉えた渾身の評論。

内容(「BOOK」データベースより)

団塊世代を中心に多くの支持を獲得してきた吉本隆明。独学によって自らを鍛え、比類なき思想を作り上げた彼の根底にある倫理観とはいかなるものだったのか―。「永遠の吉本主義者」がその初期作品を再読、自らの「一九六八年」の意味を問い直し、吉本思想の核を捉えた著者渾身の評論。吉本隆明はいかに「自立の思想」にたどり着いたか。「私小説的評論」を通して、その軌跡をたどる。

登録情報

  • 新書: 416ページ
  • 出版社: 平凡社 (2009/5/16)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4582854591
  • ISBN-13: 978-4582854596
  • 発売日: 2009/5/16
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.6 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.2  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 143,478位 (本のベストセラーを見る)
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33 人中、30人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
とうとう書くべき人の書かれるべき1冊が出たというと首を傾げる向きもあるかもしれないが、評者にとってはまさにそうなのだから、このレビューの役目はその旨を1人でもよいから伝えることである。

「永遠の吉本主義者」を自称するムッシュ・カシマは、他方でベンヤミンといった吉本が一顧だにしない思想家の著書を解説している。このあたりのわかりにくさというか、鷹揚さというか、器の大きさというか(器が割れている?)、それもまたムッシュの芸であるという気がするのは、評者がカシマイズムの信奉者だからだろう。

戦前戦後、そして時に現在をも支配下に置くスターリニズムの思想的強度を決して侮らず、徹底的に批判してやまなかった吉本隆明は、掛け値なしに戦後思想の唯一の巨人であった。後続世代では、彼をバカにする向き、揶揄する向きも少なくないようだが、評者もムッシュに倣って、吉本こそは我々の生き死にと思想を架橋し、あるいは一体のものとして考え抜いた稀なる存在だと思う。

吉本は個人的な密かな楽しみや、独り善がりな自分勝手にも寛容である。「社畜」などとサラリーマンの哀しさを捨て置き、罵倒することは決してない。彼自身特許事務所にいたときの経験から、仕事が終わった後に同僚と一杯飲みに行くことの「たまらない」楽しさを知っている。そして、思想の営為とは、そうしたたまらない楽しさと決して無縁ではないということを語ったのが吉本だった。

しかし、その一方で、自己慰撫と諦めと1人勝ちを正当化し、他者を手段としかみなさないような人間を嫌いぬいている。そうした醜い行為を推奨する「ビジネス本」を正確にも「わい本」と評言しているのには感服する。これ以上の正しい評言はなかろう。

本書は、初期吉本のテキストに則り、人間の思想とは何かを闡明する優れた論考だと思う。それがそのまま人物論になっているが、贔屓の引き倒しの独善や単なるファンの独白のいやらしさからは不思議にも免れている。アンチ吉本も偏見を持たずに読んでみるべきだ。
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11 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
鹿島茂の切実さが真っ直ぐに伝わってくる〈今時〉珍しい本。 最近このような自身の生きざまと絡み会う真摯な読みに出会う事も少なく 改めて自分の本棚から吉本さんの元本を読み返す破目になった 今までの著作に見られる事の無い著者の悪戦苦闘ぶりが心に沁みた納得の一冊→記.吉本教武闘派代表 江口淳
このレビューは参考になりましたか?
21 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By モワノンプリュ VINE™ メンバー
形式:新書
 奥付まで含めて全424頁の本書の、本論末尾に当たるp404を読んで引っくり返ってしまった。曰く、「というわけで、私たちはようやくここで、初期吉本の読み直しという、自分たちに課した第一の課題の最後に到達したわけですが、では、1960年の安保闘争によって左翼・共産党神話が崩れ去り、吉本のいう古典的インターナショナリズムの空疎化が歴然となった後の時代、つまり1960年代後半に登場した私たち団塊の世代(68年世代)にとって、吉本隆明という思想家がどのような意味をもってあらわれたのかという第二の課題(つまり、この本のタイトルである『吉本隆明1968』の表す疑問)はあとがきに譲ります」……って、そんな大事な論点を「あとがき」に丸投げしていいのか?
 で、その「あとがき」が「最近、私が『凝って』いるものの一つに、人口統計学とか人口動態学などと訳されているデモグラフィーというものがあります」(p405)と始まり、「私の吉本隆明論は、そうとは意識しなかったにもかかわらず、このエマニュエル・トッドの主張する人口動態学とかなり密接な関係を持っているような気がします」と受け、さらに人口統計学者グナル・ハインゾーンの「ユース・バルジ」概念を用いた一種の団塊世代論として展開する。
 いや、人口動態学や人口統計学は重要な学問だと思いますよ。しかしこれでは、吉本隆明は打ち捨てられるハシゴということになるんじゃないでしょうか? だって吉本がナショナリズムや言語の問題を通じて追い詰め、概念化した「大衆の原像」というものが、あっさり人口動態学・統計学に受け渡される構図になってるワケですから。
 ま、私も吉本が80年代以降、マーケティング理論や経済学やゲーム理論やポストモダンやバブルや、何やかやに追い越されていったという印象を抱いているので、著者の論じ方にそれほど違和感はないのだが、しかし「吉本隆明はエライ!」と連呼するこの本で、涼しい顔で吉本葬送をやってのける鹿島茂って、つくづく喰えないヤツだと思う。
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