これは私の大学時代後期、吉本新喜劇の爛熟期に録られた映像である。当時のスターたちが残したギャグだけを抜粋して並べた作品であり、いわば吉本のエッセンスといえる。すでに私はビデオテープで持っているが、実家に置いてあるため、こんなに何度も見たくなるビデオが家にないのはとても不便だ、と思ってDVDを買い直したのである。この数年後、マンネリ化して客の入りが減り、吉本新喜劇は「やめよっかな」企画を進めることになる。
現在の吉本新喜劇は、いくら池野めだか達数人の舞台人ががんばっているとはいっても、当時に比べたらお粗末極まる。やや下品だがわかりやすいギャグが毎度同じパターンで繰り返されるだけだというのに、毎週末の吉本新喜劇を私たち関西人が楽しみにしていた理由は、このビデオを見れば明らかだ(但しそれに飽きてつぶしてしまったのもまた、私たちである)。大阪の貴重な大衆演芸であった。ここに出てくるうちの何人かは今も活躍しており、また、鬼籍に入った人もいる。しかし、ほかの人たちは、今どこで何をしているのだろう?彼ら・彼女らの芸を楽しんでいた当時が懐かしい。この作品を見るたびに涙目になるのは、きっと笑い過ぎるからだけではないと思う。