本書刊行(1996年)までに確認された吉岡実の全詩篇を集大成した、文字どおりの吉岡実全詩集(詩歌集『昏睡季節』所収の和歌を含む)。冒頭の詩篇「春」を欠いた初刷も出回ったが、版元の適切な処置により最小限の瑕疵で食いとめられた。「本書の編集について」の方針に基づく本文校訂もほとんど問題ないが、「即興詩」で詞書/献辞のように組まれている「私ノ時計ニ」は、初出誌を見ればわかるように、本文の一行め(ただし二字下げ)だろう。「未刊詩篇 1947-90」は『昏睡季節』から『ムーンドロップ』までの詩集に入っていない15篇から成り、本書刊行後に新たに6篇が発見されている。全詩集未収録詩篇に◆印を付して、目次の体裁で掲げる。
未刊詩篇 1947-90
◆海の章
敗北 717
即興詩 717
◆汀にて〔署名は「皚寧吉」〕
◆断章
陰謀 718
遅い恋 719
夜曲 720
哀歌 721
冬の森 724
スワンベルグの歌 725
◆序詩〔『がれうた航海記』〕
◆序詩〔『白鳥幻想』〕
◆絵のなかの女
白狐 727
亜麻 730
休息 731
永遠の昼寝 733
雲井 735
沙庭 738
波よ永遠に止れ 740
以上を加味した増補改訂版『吉岡実全詩集』もしくは『吉岡実全集〔第1巻〕詩集』の刊行が切望される。