「鬼平」でもおなじみの吉右衛門とTV・雑誌で絶妙なつっこみを見せる阿川佐和子さんの対談集。
吉右衛門は寡黙な人であるとも聞くが、阿川さんとの対談では歌舞伎に関することはもちろん、そこから脱線した話題でもなかなか双方ユーモアたっぷりの掛け合い。随所に吉右衛門の素顔が垣間見えてくる。阿川さんが「通」ぶっていないのも好感が持てる。
また、稲越功一さんによる約30枚にも及ぶ吉右衛門の舞台写真は、彼の扮する登場人物の感情までもが映し出されている大変素晴らしいもの。吉右衛門の芸に心底魅せられた人でなければこのような写真は撮れないと思う。ファンの方には是非ご覧頂きたい。
他にも、対談の中には舞台上での工夫、役作りなども盛り込まれており、本書の読後に吉右衛門の「熊谷陣屋」や「寺子屋」をご覧になると、きっと新しい発見があることだろう。