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我が敬愛する作家、隆慶一郎の記念すべき処女作です。流麗な文章といい、巧みな筋の運びといい、とても処女作とは思えないできばえです。さらには、後の多くの作品でも主題となっている傀儡子や山窩など、為政者から人に非ずと人としての地位を認めてもらえず差別されながらも、自由に気ままにそしてしたたかに生き延びていく流浪の者たちへと向けられた視点、史実として一般に受け入れられていることへ懐疑の目を向け、残されている史料を縦横無尽使い、独自の歴史観を持っての考察などなど、処女作にしてすでに完成していた作家といえるのではないでしょうか。
作者が第一作で目を向けた先は花街・吉原。飾り立てた花魁が行き交う華やかな町、「男には極楽女には地獄」の欲望と恨み辛みが積もりに積もった、それだからこそ余計に活気にあふれる町。しかしそれは表の顔。一歩裏に回ってみると、そこは・・・、と書けるのはここまで。詳しく書きたいんですが、あんまり書くと興味をそいでしまうことになりかねないので。この吉原の真の姿、史料を元に作者が想像を膨らませて創り上げた吉原像にすぎないのかもしれませんが、それでも、もしかしたら・・・と思わせるには充分で、今まで知っていると思っていたことが覆されていくゾクゾクとした快感はたまりません。
松永誠一郎と、ある一族の存亡と誇りを懸けた戦い、お気に召したら、続編『かくれさと苦界行』も読んでみてください。
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