短編集ですが、作者のいつもの毒々しさは少なく
普通の人々の日常に起こるお話。
とは言っても、現代ではなく やはり明治時代〜大正にかけての
岡山でのお話なので、それなりの独特の雰囲気はあります。
【華美粉飾】はでつくり
岡山民報の新米記者が、女郎と学生の心中未遂事件を取材中に
学生の姉に魅了される。
【合意情死】がふいしんぢゅう
小学校の教師が、唯一の楽しみであるカフェで出会った女学生に
心惹かれるが、その女学生が友人の画家のモデルになって…。
【自動幻画】シネマトグラフ
地方劇団を主宰する主人公が、2人の女優の間で揺れ動く。
【巡行線路】みまはり
妻以外に女を知らない男が、初めて心惹かれた女の正体は?
【有情答語】いろよきへんじ
孤児院出身の主人公が、孤児院の職員になりその後刑務所の看守に
なり、そこで出会った女因に執着してしまう。
5編全体を通して「嫉妬心」や「妬み」などが絡み、どうしようもなく
「女」に魅了されてしまう男達が書かれてます。
作者の描く「女」は、格段に美人ではないのに影があり、それが妖しさをかもしだし
妖艶な魅力となる。
その別嬪に、どしようもなく惹かれてしまう男達。
男達の愚かさが何とも言えず、ちょっとした可愛らしささえ感じます。
いつの時代も、男は影のある妖艶な女には弱いもの…。