ハゲタカの次に読む経済小説を探していて、思わず手に取った。
端的に言えば、合併によってできたメガバンク(「ミズナミ銀行」)と外資が再建する個性的な銀行(新興銀行)を対比させながら、メガバンクの人事や仕事の進め方の不合理さを示したいようだ。
特に合併行での主導権争いは醜さを感じさせる(本当にこんなに足を引っ張り合うのだろうか?)。
前半では、不倫とは何か(愛ある関係と思ったのは虚像だった)、後半では、出世とは何か(野心の実現を目指すむなしさと人間の弱さ)を考えるという要素が入っていて、「経済小説」というよりむしろ「心理小説」となっている。
そのせいか、全般的には爽快感はなく、どちらかというと閉塞感を感じさせる本である。懐かしいサイ・ババも登場。
いくつか気になったフレーズがあるので挙げてみる。
「とにかくやらない人って、できない理由を挙げるのだけが得意なのよ」
「男性は組織での評価を重んじて、その組織から外れると猛烈に不安になる。女性はどんな仕事をしているかに関心が強い」
なお、細かいが、デッド(正しくはデット(debt))・エクィティ・スワップという間違いはいただけない(p189)。