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司馬遼太郎の「かたち」―「この国のかたち」の十年 (文春文庫)
 
 

司馬遼太郎の「かたち」―「この国のかたち」の十年 (文春文庫) [文庫]

関川 夏央
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

司馬遼太郎が晩年十年の全精力を傾注した『この国のかたち』。原稿に添えられた未発表の書簡を含む豊富な資料でその全貌を検証する

内容(「BOOK」データベースより)

国民的作家・司馬遼太郎が晩年の十年間、その全精力を傾注し「文芸春秋」に書き続けた「この国のかたち」。さまざまな問題を提起したこの連載の原稿には、必ず編集長宛の手紙が添えられていた。それら未発表の書簡をはじめ、関係者の証言、膨大な資料の検証を通じて浮かび上がる、その痛烈な姿と「憂国」の動機。

登録情報

  • 文庫: 275ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2003/02)
  • ISBN-10: 4167519070
  • ISBN-13: 978-4167519070
  • 発売日: 2003/02
  • 商品の寸法: 15 x 10.7 x 1.5 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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形式:文庫
関川夏央が司馬遼太郎の記録を掘り返したり関係者へのヒアリングをしながら、司馬遼太郎の人となりを明らかにすることで著作物や仕事に対する姿勢について記しています。
司馬遼太郎の著作物といったら小説から随筆、評論まで数え切れないし司馬史観については賛否ありますが、彼が日本という国のあり方についてなにを論じたかというよりも、彼の考え方や人との付き合い方がどう影響したのかを感情的にならず淡々と客観的に記しているところが興味深かったです。数々の著作を生み出した背景を知るうえでもふと気が付くところがあります。
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2 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By moomoos
形式:文庫|Amazonが確認した購入
 『この国のかたち』では、司馬遼太郎は、直接的ではなく、遠まわしに時事ネタに言及してました。時事ネタに対応する歴史上の事件を書いたりして。なので、時間が経過してから『この国』を読む人には意図を読み取りにくい部分があります。本書は、元の原稿に毎回付いていた、より直接的な内容の編集長宛メモを明らかにすることで、それを浮き立たせます。

 日本に遅れて、戦後、近代化・国民国家・健全なナショナリズムの成立を目指していた韓国や台湾で、早い時期から、指導的立場の人たちに司馬遼太郎は愛読されてたようです。また、同時代で他国の『坂の上の雲』を見る司馬遼太郎の目も優しいものでした。彼は李登輝だけでなく、朴正煕のことも高く評価していました。
「原稿の上で、朴正煕評価に限ってはそれがあらわれなかったのは、李登輝と違って、直接会うことがなかったからかもしれない。
『街道を行く 韓のくに紀行』は朝鮮研究としても実に興味深い著作だが、気づかいや一種の遠慮の気配も感じられないではない。ただし、この時期から朱子学の『思想の海』との朴正煕の果断な(果断すぎる)戦いを高く評価していたなら、戦後の思潮と日本人独特のバランス感覚から推して、司馬遼太郎が『国民作家』と称されることはなかっただろう。逆に『危険な思想家』に分類されていただろう」(P122-123)
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形式:文庫
「国民的作家」といわれた司馬遼太郎没し、はや12年。評者は司馬よりも山本周五郎や山田風太郎のほうを好む。
しかし、司馬が、今日現在のトンデモナイ状況の予兆あるいはさきがけとなった80年代後半のバブル衝天と90年代後半のその破裂を巡る政治家、企業家、さらに人民に対して、絶望し、諦念し、ついには声を極めて罵倒を放っていたということを改めて認識しておいた方がよい。柔なナショナリズムから何となく自己責任型ネオリベラルを肯定し、日本チャチャチャ的なスポーツ応援団紛いの政治談議をし、結果的にフリーターやパートタイマー、外国人労働者を差別しまくっている多くの賃金労働者(正社員)においては特にそうだ。

司馬は、本書関川によると青春作家だった。若いアジアの小国日本の青春群像を、いやそれだけを描いてきた司馬は、1905年以降を描くことはついぞなかった。
日露戦争終結以降の人民的熱狂に衆愚の破滅的な反理性を感得した作家は、そのあまりに痛ましい道行にいたたまれず、ついに計画していたノモンハン事件を執筆することはなかった。
司馬は晩年の10年、『この国のかたち』というエッセイを書き、小説を書くことはなかった。
この10年、『この国のかたち』の10年は1986年から1996年。
前年の85年にはプラザ合意、ゴルバチョフの登場があり、以降ベルリンの壁の撤去、ソ連崩壊、湾岸戦争、阪神淡路大震災、オウム真理教事件・・・・(明るい話題は「85年の阪神タイガースの優勝だけだ」と北杜夫と評者は言うだろう)。

司馬の最期の10年を素材に見た同時代史として、静かな哀しみを湛えた佳編である。評者は司馬の天皇観、対中認識など疑問を感じないこともないが、戦後日本の癒しであり応援歌を時代小説を通じて謳い続けたその勤勉さ、その誠実さを疑うまい。もっとも、司馬は彼が愛した日本に、日本の「ひとびと」に最晩年に至って大きく裏切られたと感じていたのである。
2008年の今日、司馬存命であれば85歳。存命中よりさらに陰惨さを増している現在の時代状況に対しては、声も出ないのではないか?
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