これは、司馬さんが1973年から74年9月まで執筆されたエッセイ集です。
司馬さんのエネルギーには、いつも驚かさせるのですが、この時期は、「翔ぶが如く」「空海の風景」「播磨灘物語」などの長編を執筆されながら、多くのエッセイを書かれています。日本は、高度経済成長からオイルショックなど、経済安定の中で、かつて経験したことがない社会問題に直面していた時期でした。
「竜馬像の変遷」「板垣とその伝説について」などでは、坂本竜馬や板垣退助などを中心に土佐を語られ、「ベトナムー断片的に」「倭の印象」などでは、目を海外に向けて日本の外交を概観されておられます。とりわけ、「服従についてー小野田寛郎氏の帰還」では、旧日本軍の組織と兵の論理を解析されています。
司馬さんの周辺で起こるドラマを背景に、司馬さんの心の動きを感じることができるエッセイ集です。