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私事をあまり語りたがらない司馬さんが、海音寺潮五郎全集月報によせて、作家「司馬遼太郎」誕生のいきさつを語っておられる。
当時の文壇でたったひとりで猛烈に司馬さんをプッシュし、かつ司馬さんを激励した海音寺氏がいなければ、
われわれに膨大な司馬作品を堪能できる幸せはなかった。
海音寺氏の人間としての凄さを感じるとともに、司馬さんの感謝の気持ちに満ちたこの篇には、ただ感動するばかり。
日露戦争を扱った代表作「坂の上の雲」を連載していた頃で、しかも学生運動が猖獗を極めていたこともあって、国家のありように関する話題が多い。特に、
・日本史からみた国家
・歴史を動かすもの
以下の2編は司馬の国家観を端的に示すものとして大変興味深い。
日本においてはもともと国家など存在したことはなかった、今もない。明治から昭和の敗戦までの一時期のみ、例外的に日本に西洋的な「国家」があった、という。
「古来、日本人を安定させてきた日本社会の自然な姿はローカル主義です。」
「日本のナショナリズムというのは村意識のナショナリズムです。」
この観点にたつと、日本人のメンタリティや行動様式が、確かによく理解できるように思う。いじめしかり、企業間の競争しかり、オリンピックやワールドカップの異常な盛り上がりしかり。さすが「司馬史観」といわれるだけのことはある。
他に海音寺潮五郎氏との交流も、司馬氏の人柄を知ることができる。充実した内容である。
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